ラサール石井さん「読書とは、頂上の見えない登山のようなもの」

読みたい本がどんどん増えていく
ラサール石井

5位の「少年探偵団シリーズ」は小学生の時に、近所の貸本屋で見つけました。表紙はすごく怖いんだけど、好奇心で手に取ってみたんです。主人公は明智小五郎で、彼をサポートする小林少年ら少年探偵団の子供たちのなかには、戦災孤児とか浮浪児もいるんですね。

でも、主人公たちのライバルの怪人二十面相が狙うのは金持ちばかりだから、そのギャップの妙もあった。ちょっとエロチックなシーンもあって、いやあドハマりしました。

 

この本のおかげで推理小説を好きになってエドガー・アラン・ポーを読むようになり、6位の『黄色い部屋の秘密』へ導かれて行くわけです。この作品は完全密室殺人で驚愕のトリックが用意されているんですが、最後はエエーッ! そんな馬鹿な! と思ったのを覚えています。

年を取るほど本が読めると思っていたんですが、最近忙しくて読む暇がないんですよ。なのに、本屋さんに行くと気に入ったものを全部買うから読んでも読んでも本が増えていくばかり。だから、僕にとっての読書は、どんなに登っても限りなく続いていく高い山みたいな感じです。

(取材・文/大西展子)

ラサール石井さんのベスト10冊

第1位『西遊記』(全10巻)
中野美代子訳 岩波文庫 1000円(1巻)
三蔵法師が孫悟空、猪八戒、沙悟浄と共に取経のため天竺を目指すが、途中、妖怪など虚実が入り乱れる一大伝奇小説

第2位『0マン』(全2巻)
手塚治虫著 講談社 900円ほか
「0マン」と呼ばれる、非常に優れた知能と体力を持つ、リスに似た生物と人間との抗争を軸とした大河ドラマ

第3位『藪原検校
井上ひさし著 新潮文庫 530円
目が見えない杉の市は晴眼者に伍して生きていくため数々の悪事を重ね、盲人の最高権力の座・検校位に就くが…

第4位『書いては書き直し
ニール・サイモン著 酒井洋子訳 早川書房 3600円
「書けば当たる作家」はいかにして生まれたか。創作と人生をユーモラスに語った自伝

第5位「少年探偵団シリーズ
江戸川乱歩著 ポプラ文庫クラシック 560円ほか
明智探偵と助手・小林少年率いる少年探偵団が怪盗と繰り広げる推理アドベンチャー

第6位『黄色い部屋の秘密
ガストン・ルルー著 高野優、竹若理衣訳 ハヤカワ文庫 980円
真夜中、令嬢の部屋から悲鳴と銃声が響いた。完全な密室殺人の謎に少年記者が挑む

第7位『蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ
芥川竜之介著 岩波文庫 700円
「文章の味わいがいい。ちょっとした皮肉、諧謔、オチみたいなものを教えられました」

第8位『吾輩は猫である
夏目漱石著 岩波文庫 700円
「小学生のときに無理して読んだ。人間を猫の目から風刺的に描いていて痛烈で愉快」

第9位『竜馬がゆく』(全8巻)
司馬遼太郎著 文春文庫 650円ほか
「幕末維新を先導した坂本竜馬の生涯。信じるものに向かって生きる勇気をもらえる一作」

第10位『大いなる助走
筒井康隆著 文春文庫 619円
「『直廾賞』候補作家が陥る混乱と狂気と、地方の同人誌界の厭らしさの描き方がうまい」

『週刊現代』2017年10月7日号より