日本発の超技術!もしもこれが軍事に悪用されたら世界は…

【科学ルポ】ハプティクスとは何か②
海猫沢 めろん プロフィール

「負けない運動」と「負ける運動」

たとえば、人間同士が接触する場合、まあ危険は感じないですよね。ようするに、人間はやわらかいからです。人と接触するときには、やわらかさがないと絶対だめなんですよ。

いまのロボットって、容赦ない動きをして、人間が抵抗することができない。僕はそれを『負けない運動』と呼んでいるんです

機械は「負けない運動」しかない。

だとしたら、人間は、相手によって「負ける運動」ができるということだろうか?

そうです。たとえば人間がボールを投げるときはうーんと緊張して、かたくして投げますよね。そうするとストレートに軌道が決まる。受け取るほうは、カチッとしていたら跳ね返ってしまいますよね。だから、やわらかく受ける——これが『負ける運動』です。

よく『力強い』というのと『しなやか』というのがあるでしょ? 片方はどちらかというと『負けない運動』で、片方は実は『負ける運動』を表しているんです。運動というのは、そのどちらからでないと、エネルギーを与えることができない。それがわれわれが見つけた運動の原理なんですよ

まとめるとこういうことだ。

「やわらかい運動」=「負ける運動」=力は決まるけれども、位置が決められない
「かたい運動」=「負けない運動」=位置は決まるけれども、力は決められない

どんなものでも、必ずこの二つでしかエネルギーを与えることができないとしたら、この二つを組み合わせることによって、ある行為が起きる。

つまり、逆に人工的にこれをつくれば、行為を設計できるということになる。この二つの記録をとっておくと、それをあとで合成することができて、ロボットが人間と同じように動くことができる。このデータを使えば、力触覚——遠くのものを触ったかたさ・やわらかさ——を通信することができる。

つまり、それがこの「リアル・ハプティクス」ということになる。

「リアル」を掴む!世界で初めて高精度の力触覚伝送を実現した大西教授。その概要と社会に与える巨大なインパクトについて語る。

なんでもつかえる

この基礎技術は、めちゃくちゃ応用が効く。

ものをつかむことに関してはなんだって使えるだろう。

今、「光る」という機能にはだいたいLEDが使われているように、「感覚をつかむ」という機能のすべてにこの技術を使えば、すごい精度になる。

例えばロボットは倒れないで歩かせるだけでも大変だが、これを使ったら倒れない制御はかんたんにできるのだろうか。

人間が倒れないように歩けば、ロボットだってぜったいそうなるわけですから簡単です

人間の行動を完全に記録・再生できるとしたらそうなるよな、とぼくは納得した。

最新技術は実現されるとだれも疑問に思わない。壁掛けテレビは昔はSFの世界だったけれど、みんなもう液晶になっていて、おばあちゃんもなんの疑問ももっていない。

リアル・ハプティクスも、そういうレベルの技術になっていきそうだが。

そうですね、でも……私が非常に心配しているのは、この技術は応用範囲が広いので、ものすごく悪い目的にも使えるんですね

悪い目的とは?

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