日本発の超技術!もしもこれが軍事に悪用されたら世界は…

【科学ルポ】ハプティクスとは何か②
海猫沢 めろん プロフィール

この技術は位置の情報を使ってない。単純に、力の情報を使っているだけ、シンプルな「引き算の技術」なのだ。

さて、まだ少しわかりづらいかも知れない。

ではこれまでのロボットアームはどうだったのか聞いてみることにした。

人間は感覚的にやっている

力の情報だけをつかうGPアーム、そのロボットアームはこれまでどういう失敗をしてきたのか。

それまでは位置だけで決めようとしてきたんです。そうすると、これは対象物の直径がわからないとつかめない

ロボットにはよく知られている「フレーム問題」というものがある。

機械は人間と違い、なんでもかんでもちゃんと命令しないと動かない。

そこにあるボールをとるにしたって、それがどういう位置にあってどういう形でどういう大きさで……というのがわからないことにはロボットはなにひとつできないのだ。だがしかし……それらをすべて入力するのはムリにきまっている。そうやって入力すべき情報が処理しきれず動けなくなってしまう……これが「フレーム問題」だ。

こうなると、人間が判断して入力するしかないのだが……そうすると、入力した場面でしか動けなくなる。つまり汎用性がなくなる。

AIにも似た問題がある。以前、AIの学者さんに聞いたのだが、AIと人間というのはぜんぜん違っていて、たとえばAIに体を持たせると制御がすごい難しいらしい。

なぜかというと、外界の情報が無限だからである。

無限の情報の中から何を切り取るのかということをまず定義しなくてはいけない。

ぼくらは体をもっているから、ある程度いろんな情報を縮減している。

たとえば座れといわれたときに、立ってるガラスに座ることはできないから、絶対それは除外されている。

できる、できない、は体によって規定される。けどAIはそれがないから難しい——そういうことだ。

 

環境の変数をどう設定するか、これは機械全体にある問題だ。

「でもゲームのなかでは、身体を持ったAIがちゃんと動いてるじゃん!」

という反論が出てきそうだが、ゲーム空間の中で、ここは歩けるよと認識しているAIというのは超単純で、白黒に画面を分けて、白い部分はいける、黒い部分はいけないよという定義をしている。単純な0と1だ。

大西先生は言う。

環境を機械にわかるように数式にしていくと、複雑すぎてどうしようもない。でも、人間って、そんな認識をしていないですよね。なぜ認識していないかって、必要ないからです。なぜ必要ないかって、位置情報を使っていないからです

位置情報を使ってない? いや、そんなことはないのでは……。

と、思うだろう。

しかしこれはそうなのだ。

実際にヒトはいちいち位置の情報を計算したりしていない。

何かが遠くにあって、避けなければいけない。これはたしかに位置情報です。でも、こっちの階段は段差が1メートルあっていけないけど、こっちは30センチだからこっちにしよう。これは判断ですよね。つまり、判断は外界の情報を使うと思うんです。それは自分が興味をもっているところだけでいい。あとはぜんぜん関係ない

環境ではなく、力——つまりエネルギーだけに注目すると確かにそうなのだ。

人が動くとき、まず移動と作用のプロセスがある。

その場所に行ってなにかをする。この移動はとくになんでもいい。問題はなにかをするとき——これはよく考えてみると、確かに単に「力」の作用。エネルギーをやりとりしているだけだ。

この話は、センサーがなくても大丈夫だよという話につながってくる。

ふしぎでしょう? なぜかこれまで、誰も『力』を主体にしてそれをコントロールするという発想がなかった。こんなの簡単じゃんと思うんだけど……。ぼくもずっとできなかったんです

ではなぜそれができたのか? どういう仕組になっているのか?

これはかなり重要な部分なので、さらに詳しく聞いてみることにした。

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