「電撃解散」自民党幹部が懸念する「こんな誤算」

勝つと負けるは紙一重だから
鈴木 哲夫 プロフィール

「小池新党」は、二桁は取る

一方の小池新党も、解散総選挙によって結党のスケジュールが早まり、予想よりも大幅に早い段階で新党の形が見えてきた。

9月解散が濃厚になる以前は、若狭氏と細野氏の新党結成の話し合いが、政策理念やメンバー構成などに関してなかなか進まずこう着状態になっていたという実情があった。そのため9月11日には、小池氏を交えた3者会談が行われている。

「ボスの小池さんが立ち会った上で、『とにかく大枠でいつか一緒になろう』という調整をした。政党交付金がもらえる年内には新党を作る。ただし、早期解散ならすぐ合流しよう、という確認を3者会談の場でしたばかりでした」(小池氏周辺)

明日にも党名を「希望の党」として船出を迎える「国政小池新党」。当面の焦点は、総選挙でどれだけの新人を立てられるかということになる。細野氏は全国で100人、若狭氏も東京の25小選挙区すべてで擁立を進めると話しているが、少しでも多くの候補者を立てて票を獲得し、比例復活の保険をかけたいところだろう。

 

ただ、「細野さんは全国の地方議員に『うちから出ないか?』と声をかけているようだが、準備期間が短いことや資金の問題もあるので、最終的には何人立てられるか分からない。新党の理念や政策を『急ごしらえ』と批判される可能性も高い。早期解散は正直言って痛い」(同小池氏周辺)と、投開票まで1ヵ月しか残されていない中、課題は山積みである。

とはいえ、今回の突然の解散が、もたついていた小池新党の結成を促したことは事実。前出の自民党選対にいる議員は、「いろいろあっても、小池新党は比例もあわせて全国で二桁の議席は取るだろう」(前出自民党選対議員)と見ている。

マスコミ各社の世論調査を細かく見ると、確かに内閣支持率は上がっているが、質問項目別に見れば、森友・加計両学園の問題について「説明が足りない」という声がほとんどの社で未だに半数を超えている。その底流には、安倍首相が説明責任を果たしていないことへの不満がくすぶっている。冒頭にも登場した、安倍首相側近の自民党議員はこう話した。

「安倍首相や自民党幹部は、解散総選挙に突入すれば、国会でのモリ(森友)カケ(加計)追及をかわせてご破算にできると思ったら大間違い。逆に選挙で野党がこれを争点にすれば、事件を忘れかけていた有権者にも再び火が付いてしまうかもしれない」

当の自民党による調査でも、またマスコミ各社の票読みでも、自民党の議席減が予想されている。それでも安倍首相は「大敗はしない」と考えたからこそ、解散総選挙を仕掛けた。別の安倍首相側近はこう言う。

「官邸の今井尚哉補佐官や菅義偉官房長官は、ギリギリまで解散のリスクを安倍首相に進言していたと聞いています。しかし安倍首相の心情としては、森友・加計問題での支持率低下に心底参ってしまったんだと思います。『盤石だったはずの一強が崩れた』という現実が、首相の決断を早めさせたのです」

場合によっては、結果がどうあれ、これが安倍首相にとって最後の解散総選挙となるかもしれない。首相の戦略は、果たして奏功するだろうか。