「電撃解散」自民党幹部が懸念する「こんな誤算」

勝つと負けるは紙一重だから
鈴木 哲夫 プロフィール

早まった野党共闘シナリオ

今回の安倍首相の「決断」によって、かえって野党・民進党を利することになったのではないか、という声も自民党内にはある。自民党選対委員会の議員の一人はこう警戒感を示す。

「『民進党がダメだから』ということで首相は解散を決めたが、早期解散によって、崩壊しかかっている民進党の離党ドミノを止めてしまうことになった。細野氏のような離党組は、遅かれ早かれ民進党を離れると分かっていた面々だ。

前原氏が怖がっていたのは、細野氏らにつられて、今後どんどん離党者が増えて党がバラバラになること。ところが解散が迫っているということで、他にもいた『離党予備軍』は自分の選挙のことを考えて、このまま民進党に残って戦う方が有利だと考えるようになった。つまり、解散が逆に求心力になって、民進党は真の壊滅状態を免れたというわけだ」

 

さらに、早期解散は野党4党の選挙協力を加速させる事態にもなっている。

「前原さんは本心では、『共産党と同じ党になることはあり得ないが、野党がバラバラのままでは戦えないから、野党再編や連携は進めるべき』という考えです。ただ、党内には他党との共闘や合流にいろんな意見があるから、一つ一つ手続きを踏んでやろうとしていました。

まずは臨時国会で社民・自由との3党で統一会派を作る。その次の段階で、一つの政党になる。さらにそのあとで共産党と接触し、選挙協力について詰めるというシナリオだったのです」(前原氏側近の民進党議員)

この前原氏のシナリオは、安倍総理の解散表明によって展開を早めざるを得なくなった。それを前出の自民党選対にいる議員は危惧しているのだ。

「民進党はそもそも、単独で小選挙区すべてに候補なんか立てられない。しかし、逆に言えば単独で戦えないなら、少々党内に反対や不満があろうとどうのこうの言っている時間はない。現実的に考えれば、野党4党の選挙協力で行くしか道はないということになる。

実際、(民進党の)長妻昭選対委員長らは、前回の2014年総選挙でのデータをもとに、水面下で各党と一対一の折衝を進めていたという情報が入ってきている」

民進党幹部の一人も、こうした動きを認め、私にこう話した。

「小選挙区制というのは、基本的に一騎打ちの対決構図になる。これは理屈じゃなく現実だ。そうした中で勝つために、共産党と一緒になることはないが、『(連携は)地域事情がある』と前原代表も何度も言ってきた。解散してから告示までの2週間の間にも(4党選挙協力については)かなり進むだろう」