「IQ28」の重度障がい児を育て上げたバツイチバリキャリマザー

我が子が超未熟児に生まれて
伊藤 みかこ プロフィール

将来を拓く「就職」へのルート作り

そんな伊藤さんも、中学校からはユウゴくんを特別支援校に通わせることにしたという。

「中学校の特別支援学級は、小学校と目的が違うんです。LD(Learning Disorder、学習障がいのこと)とか、本当に軽度の発達障がいの子が行く感じ。しゃべれないと行けないですね」

小学校の間にも、私立の知的障がい者のための学校への転校を考えたことがあった。小中高と通い続けることができ、しゃべれない子にも手話などを教えてくれるなど、とても理想的な環境だった。しかし、送迎が必須であることなど、3児を育てながら通わせ続けるのは難しいと判断し、断念した。

 

「私が入れたかった私学は、就職先を個別に見つけないといけないんですよね。(ユウゴくんの将来にとって)肝は『就職』。就職先(へのルート)は、やっぱり公立の方が持ってるんです。だから、その私立学校は素晴らしかったんですがやめにして、公立ルートで行くことにしました」

知的障がい者の就労先というのは、「単純反復作業がある」「仕事の内容や場所・人の変化が少ない」「家庭的な規模」「恩恵的な雇用主・現場責任者がいる」という4つの特徴を満たしていることが望ましい。

一方で、知的障害者の中には言語によるコミュニケーションが取れない人も多くいるので、就職は紹介制にならざるを得ない。結果、彼らが就ける職種というのはとても限られていて、クリーニング工、パン・菓子工、清掃といったサービス業がほとんどだという。

講演をする伊藤さん。写真:伊藤みかこさん提供

「できることは少ないけど、やっぱり障がいのある子も働ける場所ってまだまだあると思うんですよね。普通の会社だと面倒くさがられるシュレッダー作業ですけど、今日はA会社でシュレッダーかける日、次はB会社、C会社って1週間ずっとシュレッダーかける(仕事)とか、そういう会社もあったりするんです」

例えば紙のお弁当箱を折って組み立てる仕事。「折る」という単純な作業の繰り返しは、知的障がい者に向いた作業だ。ユウゴくんも上手にこなすことができているという。

また、障がいの種類とレベルによっては、パソコンの入力作業がとてもうまい子もいる。例えば『ゲンキのモト』は1号で数千枚の応募がある。そういう雑誌のプレゼントはがきの打ち込みなど、単純で数の多い入力作業をそういう子たちに任せるというアイデアは、出版社などで重宝がられるかもしれないと伊藤さんは言う。

「障がい者のママ友さんとかと話していると、お母さんだからこそ(この子はこういうことが得意だとか)分かることってあるんですよね。だから、『(障がい者には)こういうこともできるよ』みたいな可能性を広げてあげたりしたい。夢は、アメリカとかに行って、どんな仕事があるか小児科の先生やずっとお世話になっている療育の先生、そして母たちと視察に行くことです」