「IQ28」の重度障がい児を育て上げたバツイチバリキャリマザー

我が子が超未熟児に生まれて
伊藤 みかこ プロフィール

助からない命が助かるようになったけど……

医療の発達によって、超未熟児や今まででは望みが薄かった命までも助かるようになった。しかし、その影響で障がいを持って成長する子どもたちが増えたのも事実だ。しかし、彼らを支援してくれる施設の整備は遅れているのが現実。

障がい児を対象とした託児や保育のサービスはとても少ない。そのため、障がい児を持った親たちは、自分が病気になったり、自分の親が要介護になったりしても、十分なサポートを受けることは難しい。事実、伊藤さんもワーキングマザーとして働きながらユウゴくんたち3兄弟を育てることに限界を感じ、実母の力を借りながら二人三脚に近い状態でユウゴくんを育てている。

 

「物理的なサポートだけじゃなくて、親たちへの心のケアもほとんどないんですよね」と、障がい児を持った家庭の厳しさを語る伊藤さん。子どもが障がいを持ったことに対して責任を感じてしまう母親も多いが、彼女たちに対するサポートはほとんど望めないことも問題だと指摘する。

健常者と障がい者が交流するチャンスが少なく、障がい児に対する理解が進んでいない社会の中で、障がい児とともに生きることは楽ではない。結果、子どもが障がい者であることを隠したがる保護者も多いという。しかし、あえてユウゴくんのことは隠さないようにするのが伊藤さん流。

ユウゴくん。写真:伊藤みかこさん提供

「小学校の時から(障がい児は)『特別支援校へ行け』『特別支援学級に行け』って言って、通常の子とあんなに隔離してるのに、大人になってから『ノーマライゼーション』とか言って、『隔たりなくみんなで仲良くしましょうね、ボーダレス社会を作りましょうね』なんて、おかしいですよね」

障がい児を隠そうとする家庭の多さだけではなく、特別支援学級や特別支援校に障がい児を囲い込み、健常児と隔離しようとする日本の学校教育にも、疑問を感じている。

「小さいころから一緒の空間にいれば、たとえ一緒に遊ばなかったとしても、危害を加えることはないとか、こういうことがイヤだと思うんだなとか、(障がい児のことが)分かるようになりますよね。そういうことを経て、どう対応したらいいかが分かってくるし、関われるようになるんだと思うんです」