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私の「秘蔵ウイスキー」を、妻と息子が狙っています

タリスカー・ゴールデンアワー第6回(後編)

シマジ: もちろんわたしも感動しましたが、ミズマがあれからリンクウッドにはまって、どこのバーに行っても「古いリンクウッドある?」と訊くようになってしまいました。

津田さんがシングルモルトの洗礼を受けたのは、2000年でしたよね。津田さんにもミズマにも言えることですが、あと10年早く遭遇していたら、たとえば90年にスタートしていたら、なんでももっと安く飲めたでしょうにね。

津田: たしかに、そのころはなんでもあった時代でしょうね。でもぼくがスタートを切った2000年か2001年かに、シマジさんの大好きなポートエレンのファーストが発売になりました。

シマジ: 今年、ポートエレン16THが発売されていますから、ファーストは2002年に出たんですかね。あのころはたしか1本2万円ぐらいだったと記憶しています。

津田: ファースト、セカンド、サードぐらいまではそんなものでしたよね。ぼくはセカンドは買えなかったんですが、ファーストとサードを買って、サードは全部飲んじゃいました(笑)。でもファーストは開けた記憶がないので、多分、まだどこかにあるはずなんですけど……。

シマジ: 探さないで放っておくと、奥さんに飲まれてしまうね。

津田: かみさんに飲まれるくらいなら、シマジさんと一緒に二人で全部飲みたいです。

ボブ: お願いです。そのときは私も誘ってください。ちょっとだけでいいので。

津田: 是非。

ヒノ: ついでにぼくもいいですか。

津田: 是非、是非。

シマジ: 津田さん、真剣に探してくださいよ。もう一度あのポートエレン・ファーストを飲めるなんて、そんな幸せなことはありません。期待していますからね。

津田: じつはファーストは、バーでは飲んだことがあるんですが、今年の16回リリースは、ファーストにかなり近い印象でしたよ。

シマジ: でも値段を考えると、ブローラのほうがお得感がありますね。

ボブ: たしかにブローラのほうがやさしさがあります。

シマジ: 値段もやさしいよね。

立木: で、シマジは今年リリースされたポートエレンもブローラもまだ買っていないのか。2本とも買うと言っていたくせに。

シマジ: そんなに急がなくても必ず買いますよ。毒蛇は急がないものです。

立木: 買ったら必ず報せるんだぞ。両方比較して飲んでみたいものだ。よし、これで本日の撮影は終了! シマジ、おれにもなにか飲ませてくれ。

ボブ: ラガヴーリン16年をどうぞ。エアレーターで水割りにしましょうか。

津田: すみません。ぼくにはストレートで一杯いただけますか。

シマジ: 津田さん、ちょっとだけですよ。後で必ず加水して飲んでくださいね。

津田: 畏まりました。

立木: うん、このガツンとくるピートの香りがじつにいいね。コイツの氏素性を教えてくれる?

ボブ: この子はアイラ島出身です。

立木: ああ、思い出した。昔、シマジのところの雑誌の取材でアイラ島に行って、そこの町長夫人とパーティで踊ったことがあるよ。夕方になると町中がこのピートの香りで充満するんだよな。その香りに誘われて、夕方になると、飲みたくなるんだよ。

ヒノ: アイラ島ではどうして、夕方、ピートを焚くんですか?

ボブ: 主に暖房のためです。一人60ポンド払えば、それで一年間ピートを掘り放題なんですよ。

立木: ああやってどんどんピートを掘っていたら、そのうち島がなくなるんじゃないの。

シマジ: アッハッハッハ。それはいままで誰も気がつかなかった着想です。

〈了〉

津田一久(つだ・かずひさ)
1961年、横浜生まれ。本牧で育った生粋のハマっ子。早稲田大学法学部卒業後、大日本印刷入社。以降ほぼ一貫して包装営業畑を歩み、携わった得意先のヒット商品・ロングセラー商品も多数。伊勢丹メンズ館8階「サロン・ド・シマジ」伝説の常連、故秋山義人「教授」とは中学高校大学で後輩という間柄。「口に合わないウイスキーはあっても、まずいウイスキーはない」を銘とする、自他ともに認めるウイスキーラバー。
島地勝彦(しまじ・かつひこ)
1941年、東京都生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任した。柴田錬三郎、今東光、開高健などの人生相談を担当し、週刊プレイボーイを100万部雑誌に育て上げた名物編集長として知られる。広告担当取締役、集英社インターナショナル代表取締役を経て、2008年11月退任。現在は、コラムニスト兼バーマンとして活躍中。 『甘い生活』『乗り移り人生相談』『知る悲しみ』(いずれも講談社)、『バーカウンターは人生の勉強机である』『蘇生版 水の上を歩く? 酒場でジョーク十番勝負』(CCCメディアハウス)、『お洒落極道』(小学館)など著書多数。
ロバート・ストックウェル(通称ボブ)
MHDシングルモルト アンバサダー/ウイスキー文化研究所認定ウィスキーエキスパート。約10年間にわたりディアジオ社、グレンモーレンジィ社、他社にて、醸造から蒸留、熟成、比較テイスティングなど、シングルモルトの製法の全てを取得したスペシャリスト。4ヵ所のモルトウイスキー蒸留所で働いた経験を活かし、日本全国でシングルモルトの魅力を面白く、分かりやすく解説するセミナーを実施して活躍しています。