人工知能が映画脚本を手がけ小説を書く時代の「創造性」とは?

アート分野はこんなに進んでいた
金井 良太 プロフィール

AIが小説や脚本をつくる時代

金井:本当にそんなことができてしまうのですか。個人データからその人にあった音楽を作るというのは、既に誰かが成功しているのですか?

エリオット:いくつかの会社が取り組んでいます。これは個人データとして何を使うかにもよりますし、最終的な作品にどのように取り込んでいくのかにもやり方がいくつもあります。

バイオビーツ(BioBeats)という会社は心拍データ(heartbeat data)から、アイトカイク(Aitokaiku)というスタートアップは周囲の環境から音楽を作ります。他にもジュークデック(Jukedeck)というプロジェクトでは、自分の選んだジャンルの音楽のパラメータを調整すると音楽を生成してくれます。

さらにもう一つのAIのクリエイティブ業界での使い方としては、リアルタイムでのインタラクションです。マーケティングでは、広告に使っている画像がどれだけ効果があるのかがわかると役に立ちます。

Picasso Labsなどのスタートアップでは、画像の特徴を元に、どうしたらもっと良くなるのが提案してくれるというソリューションを作っています。

金井:こういったインタラクティブなテクノロジーは、音楽や文章で主に使われているのでしょうか。

エリオット:インタラクティブなものは、実に応用できる範囲が広いです。 ウェキネイター(Wekinator)を使うと、 人間の行動とコンピュータの反応から、新しい楽器のようなインタラクティブなシステムを作ることができます。

モジース(Mogees)というスタートアップの製品を使うと、スイカでもバケツでも、あらゆるものを楽器にすることができます。

さらに、もう一つの使い方は、作品や製品をデザインするようなクリエイティブなプロセス自体にAIを組み込むというものです。クリエイティブなプロセスの一部を助けるか、あるいはクリエイティビティ自体を向上させるような技術です。

この場合は、AIが最終的な製品にとって決定的な役割を果たします。いまやAIでアートを作ったり、小説を書いたりする企業がでてきています。

金井:そういえば、日本でもAIに小説を書かせるという非常に話題になったプロジェクトがありました。松原仁先生のチームが星新一の作品をもとに、AIに短い小説を書かせて、実際の賞にも応募して大変話題になりました。

こういったクリエイティブな文章生成に関する取り組みは英語圏でもあるのでしょうか。

 

エリオット:ナノゲンモ(NaNoGenMo)というイニシアティブがあります。これはディベロッパーでかつアーティストであるダリウス・カゼミ(Darius Kazemi)が、全国小説執筆月間の活動(ナノライモ 、National Novel Writing Monthを略してNaNoWriMo)として始めたことです。

このプロジェクトでは、コンピュータプログラムでその月の終わりの日までに5万語の文章を書き上げるという課題設定がされています。

カゼミ自身が作ったものは“Teens Wander Around a House”というもので、AIエージェントが家の中を動き回るという話です。

カゼミのプログラムは、エージェントの行動のナレーションを生成し、ふたりの登場人物が同じ部屋にいるときは、会話をツイッター上の会話から引っ張ってきます。

ほかには、ミュージカルのビヨンド・ザ・フェンス(Beyond the Fence)、それから短編映画のサンスプリング(Sunspring)の脚本もAIがつくっています。