提供/DGコミュニケーションズ
「東京23区については、東京五輪まで値下がりしない」「家余りの時代、いつ暴落してもおかしくない」などなど、マンション価格についてさまざまの予測が乱れ飛んでいる。その真偽はともかく、世の中には、どんなときも「資産価値が下がらないマンション」が存在するという。
『マンション格差』の著者である榊淳司氏が、人工知能(AI)を活用した価格査定サービス「家いくら?」を活用して、そんな奇跡のマンションの存在と今後の可能性を明らかにしてくれた。
不動産業界では近ごろ、「ヴィンテージマンション」という言葉をよく聞く。専門家だけの興味関心ということでもないようで、一般の方々からも「私のマンションはヴィンテージになりますか?」といった類の質問をよく受ける。
誰しも、自分が購入したマンションが世間から高く評価されるとうれしいものだ。もちろん、ただうれしいだけではない。売却するときに購入した価格よりも高く売れれば、実益となって目の前に積み上がる。ヴィンテージマンションとは、(あとで詳述するが)まさにそのような喜びと実益をもたらしてくれる住戸を指すようだ。
しかし、自分の住戸がいくらで売れるかなど、実際に売りに出して、買い手が見つかるまではわからない。いや、正確には「わからなかった」と言うべきだろう。というのも、最近は人工知能(AI)技術が急激に発達し、中古マンションの資産価値評価をオンラインで、しかも住戸単位で提供してくれるサイトが出てきているからだ。
そのなかでも、面倒な手続きナシで瞬時に住戸の資産価値を示してくれるのが、7月にサービス提供を始めたばかりの「家いくら?」だ。この便利なサービスを活用して、「ヴィンテージマンション」とされる住戸の価格の動きを見てみると、多くの人たちが興味や憧れを抱く理由があらためてわかった。
実際のところ、「ヴィンテージマンション」とは何なのか?
私が知る限り、明解な定義は、ない。一般に「ヴィンテージ」と言えば、ただ古いだけでなく、年月を経て味わいが出てきた年代モノを指すが、マンション業界とその周辺では、いまのところ何となく「あのマンションはヴィンテージだから」という認識があるくらいだ。
そこで、私なりのヴィンテージの条件をここで示したい。ただし、あくまでも私独自の見解であって、誰もが賛同しているものではないことをあらかじめ断っておく。
①新築時の販売価格と同等レベルか、それ以上で取引されている
②誰もが一等地と認める場所にある
③竣工後10年以上が経過している
④100戸以上のスケールがある
⑤管理組合が良好な状態で機能している
まず、資産価値が安定しているのが何よりだろう。どれだけいい場所にあって、設計や施工精度が優れていても、新築分譲時の販売価格から資産価値が大きく下落しているようでは、そもそも「ヴィンテージ」とは呼べない。新築で購入した方の資産を毀損した責任が大きいからだ。
次に、ある程度の「わかりやすさ」が必要だ。ヴィンテージであるためには、マンションが立地する場所も含めて、知名度が求められる。「知る人ぞ知る」ような物件はヴィンテージの名にふさわしくないと思われる。
最後に、いままで注目されなかったことであるが、「管理」が重要である。条件的に優れたマンションであっても、管理組合の運営がよろしくない場合は、区分所有者や住人を不愉快な日常に導く。さらには、管理組合の資産にマイナスの影響をもたらすのだ。
これからの時代、築30年や築40年、あるいは築50年と言ったマンションが多くなる。管理組合が良好に運営されているマンションとそうでないマンションの格差は、これまで以上に注目されることになるだろう。