創業100年「サクラクレパス」がこだわり続けた色彩への喜び

西村彦四郎社長が語る
週刊現代 プロフィール

【ピカソ】

子どもの絵の審査をすることがあります。その時ふと、ピカソの絵も、子どもの絵もどこか同じだ、と感じることがあるのです。例えば子どもが両親を描くとき、背景に比べて人物が大きすぎるとか、ちょっとおかしいことがあります。でも絵は「自分にそう見えたもの」を表現すべきもの。誰にとっても、世界は結局、自分の目を通して存在しているわけです。

子どもも同じで、素直に自分の見える通りに描いたら、大好きなお父さん、お母さんが大きくなっちゃった、ということだと思うのです。その「こう見えた!」ということの大切さはみんな同じで、ピカソと子どもに違いはないのではないか、と思います。

 

もう一つのロングセラー

【自己表現】

サクラクレパスは、ボールペンとサインペンのいいところをとった「ボールサイン」など、大人向けのロングセラーもつくっています。最近はこれに加え、高級感が特徴の大人向けの商品を開発する「サクラクラフトラボ」というチームを立ち上げました。

その第1弾モデルの「001」は、ビジネスで使える黒色のペンなのですが「ブルーブラック」「ボルドーブラック」等、少しだけ色が入っています。社内の書類で「このペンは〇〇さんの色だ」とわかってもらえる程度にさりげない自己表現ができるんですよ。また、ボディに真鍮を使っており、使うほどに金属が深い色合いに変わっていきます。ビジネスシーンでも、さりげない「色彩の喜び」があったらいいな、と。

【色彩感覚】

当社にはほかにも様々な商品があります。色鉛筆の使いやすさと、クレヨンの発色の美しさを兼ね備えた「クーピーペンシル」や、水でおとせるクレヨンやクレパスなど、子どもが思いっきり絵を描ける商品です。こうして、常に新しい価値をつくり続けていけば、当社は今後も長く必要としてもらえるのだと思います。

映画やアニメを観ると、日本人と外国人の色彩感覚の違いに気付くことがあります。日本人が「緑」と言われ思い浮かべる色と、米国人の「グリーン」の間には微妙な差があるのです。そして、この色彩感覚は子どもの頃に養われるもの。当社は今後も価値ある製品をつくりつづけ、日本を、世界を、より色彩豊かにしていければ、と思っています。

(取材・文/夏目幸明)

にしむら・ひこしろう/'55年兵庫県生まれ。'79年に成蹊大学法学部を卒業し、'80年5月にサクラクレパスへ入社。'96年から営業企画本部長などを歴任し、'14年に代表取締役へ就任、以来現職。プラズマ強度を判断できる「プラズマインジケータ」を開発するなど多数の新規事業を立ち上げてきた

『週刊現代』2017年9月23・30日号より