「謝っているのに、許してくれない」を解決する正しい方法

関係修復はムリ…と悩む前に
川合 伸幸

安易な謝罪こそNG

しかしなんとかしたいのは自分の怒りだけではない。むしろ誰かを怒らせたときに、その人の怒りを鎮めたいという状況のほうが多いのではないだろうか。

怒らせたときには謝ることが多いが、わたしたちの研究で、簡単な謝罪は怒った人の攻撃性を抑制できるが、不快感までは消すことができない、ということがあきらかになった。つまり、謝罪は怒らせた人が攻撃されないためのものであり、腹を立てている人の不快を解消するための効果はないのだ。

それどころか、就学前の子どもやケンカ中のカップルを対象とした研究で、怒った人が相手に求めているのは謝罪ではなく、補償や愛情を示すことだということがわかった。安易な謝罪は「ソレダメ」なのだ。

 

では謝罪に意味がないかといえば、そうではない。多くの人は適切な謝罪がどういうものかを知らないので、関係をうまく修復できないのだ。それどころか、謝罪会見でしばしば見られるように、不適切な謝罪をすることで、さらに怒りを増幅させることもある。

謝罪には、どうしても外せない三つの要素(自責の念の表出、責任の自覚、補償の申し出)がある一方で、これを入れてはいけないという四つの不適切な要素(正当化、逆ギレ、弁解、矮小化)がある。

本書では、なぜ謝罪に不適切な要素が含まれてしまうのか、それを取り除くにはどうすればよいかなど、実証的な研究に基づいて効果的な謝罪をするためのポイントを解説している。

家庭や会社で円滑なコミュニケーションをはかるために、研究に基づいた怒りや謝罪に関する知恵や技術を身につけてほしい。

読書人の雑誌「本」2017年10月号より

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