「ハイスペック女子」豊田真由子議員が犯した致命的な失敗

プライドが高いと、あの言葉がいえない
矢島 新子 プロフィール

ピンクモンスターと呼ばれて

女性医師の中にも、企業社会の女性社員にも、そうした傾向が強い人もいる。概して若い世代ほど、周囲から忠告を得られず突っ走ってしまいがちだ。おおむね現在40代後半より上の世代の場合は、女性が従来型の男性社会で生き抜いてくるためには気遣いをしていたのだ。

しかし、現在の40代前半世代以下では男女平等の精神が根付き始め、気の強いハイスペック女子は戒めることもされなくなった面がある。会社でも、(社風にもよるのだが)それができない男性上司が増えてきたということだろう。

 

今回の豊田氏のテープの音声についても、そもそも人権侵害や脅迫というレベルの話ではなく、女性としての品性について教育されなかったのか、と感じる。一昔前ならそこを指摘する男性もいたが、今は歪んだ男女平等やセクハラ発言に気を遣い過ぎて、男性がこのような女性の態度を戒めることは少なくなり、陰口に留まるようになった。

そうした時代の雰囲気に乗って、豊田氏も叩かれないまま突っ走って来れたのだろう。彼女がジュネーブに出向していた際、現地で2人の子どもを出産している。ところが省内の規定では現地での産休は1回までとされていた。在外勤務なのだからそれは日本の国益も考慮した想定だと思う。

が、彼女が海外出産にこだわったのか定かではないが、それを破ったそうだ。公務員はエリートである以前に公僕のはずだが、その意識も低かったのではないかと思ってしまう。

しばしば私は、ハイスペック女子はなぜ自分が尊敬できる人を忠告者として置かなかったのか、と思う。「頭がいい」から大抵の人を見下すのだろうが、本当に頭がいいのなら、信頼ができ価値観が似ている人の中に、自身が「頭がいいと認められる人」を見いだせるはずだ。たとえば豊田氏にそういう存在がいたならば、秘書が次々と辞めていった時点で客観的意見をアドバイスしてくれたことだろう。

photo by iStock

また高い能力を持つハイスペック女子は、ある程度の立場に就くことも多いが、人をマネジメントする立場になれば自分がプレイヤーとして1位をとるのと違う能力が必要になってくる。そこは、単に知識や業務遂行能力だけではない世界ともいえる。これまでの自分が生きてきた世界とは異なり、他人の未知の感情を理解する必要もある。

おそらく、豊田氏の耳をふさぎたくなるような怒鳴り声は、相手に対して自分の意図を通そうとして感情的に、また圧迫的に要求を押し付けようとしているのだが、それは自身にも高すぎるプレッシャーがかかっているからだろう。

だとしても、それなりの地位にある人間が相手の感情に配慮できなかったり、自分の感情コントロールができなかったりするのは、マネジメント力を欠く原因となる。

政治の世界だけでなく、ビジネスにおいても、あるいは子育てなどにおいても、多くのハイスペック女子が同様の失敗をし、実力を発揮できないのは残念でならない。

矢島新子(やじま・しんこ)医学博士。山野美容芸術短期大学客員教授。ドクターズヘルスケア産業医事務所代表。東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒。パリ第一ソルボンヌ大学院医療経済学修士、WHO健康都市プロジェクトコンサルタント、保健所勤務などを経て産業医事務所設立。10年にわたる東京女子医学附属女性生涯健康センターの女性外来、産業医として数千人の社員面談経験より、働く女性のメンタルヘルスに詳しい。著書に『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社新書)ほか。

高学歴、高収入、高ルックス…、彼女たちはなぜストレスでツブれるのか!?女性産業医が見た一億総活躍社会の現実!