# 認知症 # 成年後見人

91歳のおばあちゃんが突然失踪、そして財産消滅…何が起こった?

成年後見制度の深い闇 第6回
長谷川 学 プロフィール

佐伯さん自身は、成年後見人の仕組みをよく知らなかったという。だが、認知症のお年寄りに後見人がついて世話をするというようなものだと説明を受け、区役所が関わっているのならと、ひとまずほっとしたという。ところが、である。

「『おばあちゃんに会いたいのですが、いまどこにいるのですか』と聞いたところ、『居場所は教えられません。いまは最終的に住むところを探しているところですが、個人情報ですので』と、区役所の担当者はかたくなな態度に変わってしまいました。家族でない人間に個人情報を教えるわけにはいかない、というのです。

仕方なく、『友達が連絡をほしがっている』と伝えてもらうように頼みましたが、半年たっても連絡はありませんでした……」

あったはずの建物は更地に…

友人の行方が気になる佐伯さんは、もしやと考え、以前に聞いていた、この高齢女性の実家の場所を訪ねてみた。すると、都内にある女性の実家の建物は消えており、最近整地されたらしい更地に変わっていたという。

解体現場Photo by iStock

佐伯さんは、こう話す。

「以前聞いた話だと、この実家はおばあちゃんの名義だそうです。この家で、かつておばあちゃんは母親、兄弟と暮らしていました。ただ、おばあちゃんは母親と折り合いが悪かったそうで、若い時に実家を出て自活を始めたとか。

その後、母親も兄弟も亡くなり、おばあちゃんが土地・建物を相続したものの、老朽化が激しく、ネズミも出るので、とても住めない。それで、アパートで独り暮らしをしていたのです」

 

消えた高齢の女性、そして時期を同じくして更地になった女性の実家――。

ますます心配になってきた佐伯さんは、区役所への問い合わせを続けたが、相変わらずのダンマリだった。数ヵ月、まんじりともせず過ごしたあと、佐伯さんはインターネットで見つけた、成年後見にまつわるトラブル相談を受け付けている一般社団法人「後見の杜」にこの件を持ち込んだのだ。今年8月のことである。私が取材を始めたのも、この時期である。