時間の速さは人によって違う!? 新時代の「時間観」をご存じですか

止まっていても実は光速で「動いてる」
松浦 壮 プロフィール

止まっている物体も進んでいる

単純に見る立場が変わるだけで時間と距離がお互いに影響を及ぼし合うということは、人間の都合を超えて、時間と空間は本質的に同類だということです。この事情は、時間の遅れの原因を時空内の速度が空間方向に割り振られたからと理解することでよりはっきりします。

どんな物体にも時間だけは流れているので、物体は止まっていても時間方向に動いています。今の場合、光を基準にして1秒は30万kmに読み替えられるので、1秒の経過は、時間方向への30万kmの移動と同じです。となると、時間も空間と同じく「方向」の1つとしてまとめたくなります。これが「時空」です。この視点に立つなら、

「止まっている物体は時間方向に光速で動いている」

ということになります。

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ここで忘れてはいけないのが「光のスピードは誰から見ても変わらない」という事実です。これは時空内の速度でも同じです。止まっている物体が時間方向に光速で進んでいるなら、その(時空内の)速さは誰から見ても同じ。例えば、動いている物体を時空で見ると、空間方向だけでなく、時間方向にも動いていますが、そのトータルの速さは光速です。

 

すると面白いことがわかります。止まっている物体は、時間方向だけに速度を持っているので、そのスピード(光速)の全てを「時間」に費やせます。ところが、物体が空間方向にも動いていると、速さの一部を空間方向に取られて、速度の時間成分が小さくなります。これが時間の遅れの原因です。(ここで書いた事をもう少し掘り下げたい方は、「時空の距離」がミンコフスキー計量で測られることに気をつけて下さい。)

おわかりでしょうか?「光速度不変」が正しいとわかった今、空間方向の移動というのは時間経過の一部なのです。例えばあなたが歩いているとき、その速さは時間経過の一部を借りたものです。結果、あなたに流れる時間は(止まっている人から見ると)わずかにゆっくりになります。

こうなると、もはや「時間」と「空間」は分けて考えられません。ですから、今の物理学では、時間だけを単独で扱うことはしません。必ず空間もセットです。時間は時間だけの問題ではなくなり、「時間とはなんだろう?」という問いは、「時空とは何だろう?」という問いと同じになります。

今考えたのは、「光のスピードは誰から見ても変わらない」というたったひとつの事実だけでしたが、20世紀以降に人類が見出した驚きの事実は他にもたくさんあります。そして、それらを加味すると、時間の認識は、単純な「時空」を超えて、もっと遙かに大きな広がりを見せます。

時間・空間・物質・力。この宇宙を構成するあらゆる存在に、実は共通のDNAが潜んでいる。子供達の時代には、そんな自然観が当たり前になっているのかも知れません。タイムマシンが出来るなら、未来の子供達に聞きに行きたいな~などと思いつつ今日もビールを楽しむ、そんな秋の夜長でありました。

時間とはなんだろう