金融弱者を狙う「強欲の銀行カードローン」その実態

自己破産者まで生まれたその背景
藤田 知也

ようやく変わりはじめたが…

筆者がこの問題に目をつけたのは、自己破産が増加に転じたことを知った今年春のことだ。マスコミの脚光を浴びるようになり、多くの銀行もこの春以降になって、消費者金融と同じように収入証明書の提出を求めて確認することを始めた。三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行はテレビCMの放送回数を消費者金融並みに減らした。「総量規制対象外!」といった過激な広告表現も銀行の自社広告からは最近は消えている。

だが、貸付額が年収の3分の1を超えることについて、全銀協の会長行を務める三菱UFJフィナンシャル・グループは並々ならぬこだわりを示している。詳しいやりとりは拙著『強欲の銀行カードローン』に記したが、カードローンでの多額の貸し付けには「利便性がある」「ニーズがある」などと主張し、さもカードローンで多額の融資を行うのは自分たちの利益よりも、それを切実に必要とする誰かのためかのように訴えてきた。

では、誰のためにどう役だっているというのか。そう尋ねても、まともな答えは返ってこない。最短30分の簡単審査で無目的のカネを貸し出しているため、カネが何に使われているかは知るよしもないのが実情だからだ。

 

銀行カードローンを全否定するつもりはない。簡単にすばやく借りられる借金が、高金利でも少額なら誰かのために役立つ場面があることは知っている。高額で高金利でも、ごく短い期間に限られば負担は小さくて済む。高額で長期間でも、目的に応じて低金利で貸してくれる住宅や車、教育などのローンが多くの人生に役だっていることは言うまでもない。

しかし、使い道のわからない高金利のカードローンで高額の貸し付けを長期にわたって続けることが、一部の消費者を破綻に追いやることはあっても、誰かにとって何か役立っているのかはさっぱり見えてこない。そして、貸金業法を骨抜きにする行為が漫然と今も続けられている現状にはやはり納得がいかない。

金融庁は6月までの通常国会で「銀行界の自主的な取り組みを見守る」という姿勢を貫いたが、9月に入って方針を一転。カードローンに的を絞り、大手行への立ち入り検査に乗り出すことを発表した。金融庁が検査の実施をわざわざ発表するのはめずらしいことだ。ちゃんとやります、とアピールする狙いもあったのではないか。

金融庁は立ち入り検査によってカードローンの実態を詳しく把握できるが、なにをどう改善させるのか決まった方針があるわけではなく、検査を通して検討される。そこで弱者を守る消費者保護の初心=貸金業法の精神に立ち返れるのか。

成果を上げるには私たちもただ見守るだけではなく、おかしい、という声を上げ続けないといけない。