金融弱者を狙う「強欲の銀行カードローン」その実態

自己破産者まで生まれたその背景
藤田 知也

総じて「後ろ向き」

たとえば、消費者金融は同業他社も含めて総額で年収の3分の1以下しか貸せないと貸金業法で定められているが、銀行は上限を気にせずに好きなだけ貸せる。実際に全国の銀行の大半がカードローンで年収の3分の1超を貸していたことが、朝日新聞のアンケート調査で判明している。

消費者金融は利用者の借り入れが単独で50万円、同業他社も含め100万円を超える場合は、収入証明書を提出させて確認することが義務づけられている。銀行は何の制約もないので、メガバンクも含む多くの銀行は収入を厳密に確認することもなく200万円、300万円と貸し付けていた。

さらに銀行カードローンのテレビCMが洪水のようにあふれていたのを覚えている人も多いだろう。消費者金融のテレビCMは毎月100本以下と決められているが、規制のない銀行は好きなだけ放送できる。

筆者が入手した民間調査会社のデータでは、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行、新生銀行の3行が最近まで月150~250本というハイペースでCMを流しまくっていた。これでは銀行カードローンが消費者金融を凌駕できるのも当然だ。

消費者金融への規制が強化されたのは2006年のこと。それまで高金利で貸しまくり、自己破産だけでなく自殺者まで増えて社会問題になったのを受け、改正貸金業法は成立したのだ。当時の銀行カードローンはもっぱら口座保有者向けの一サービスに過ぎず、今のように熱心に売り込むものでもなかったから、規制対象とはならなかった。

 

ところが、今は事情が変わった。日本銀行による大規模緩和で金利が歴史的な低水準となり、金利が1%にも満たない住宅ローンや法人融資で稼ぎにくくなった銀行業界は高金利が見込めるカードローンやアパートローンに活路を見いだすようになった。銀行口座のあるなしに関係なく、一見客にも積極的に売り込み、カードローンは消費者金融とほとんど変わらない業態へと変貌した。

衰退が進む消費者金融も、銀行カードローンの恩恵にあずかる。銀行には一見客を短時間で審査する能力がないため、審査ノウハウのある消費者金融などの貸金業者を保証会社として組み入れている。私たちがカードローンでお金を借りるには、保証会社の審査を通過することが条件となっている。

銀行は保証会社に保証料を払い、貸し倒れたときのリスクを丸投げ。融資拡大が見込めない消費者金融業界では、銀行などのカードローン審査や債権回収で稼ぐ「保証ビジネス」が有望な生き残り策となった。

しかし、銀行カードローンの台頭によって、消費者を守るためにつくられたはずの貸金業法は完全に「骨抜き」となっている。日本弁護士連合会は昨年秋、銀行カードローンを含む借り入れが年収の3分の1を超えて破綻していった事例を集め、銀行も原則、個人の利用者の借り入れが年収の3分の1以内に収まるようにすべきだとする意見書を政府や全国銀行協会に突きつけたが、彼らの対応は総じて「後ろ向き」に映る。