金融弱者を狙う「強欲の銀行カードローン」その実態

自己破産者まで生まれたその背景
藤田 知也

総額5.6兆円

男性は「借りるのはすごく簡単で、返すのはすごく難しかった」と振り返りながらも、銀行の不満は一切口にしない。ただ「悪いのは自分です」と繰り返す。

しかし、彼の債務整理に携わった弁護士の森川清さんの見方は違う。「銀行がお金を貸さなければ、彼は破産せずに後戻りできた可能性が高い」と言うのだ。

この男性の場合、ネット銀行でカネを借りる段階で、手続きをすればケガの治療を理由に障害年金を受け取れたほか、親の介護費や自分の治療費のためなら社会福祉協議会が提供する無利子・低金利の貸付制度を利用することもできた。

安易に高金利のカードローンや消費者金融を頼らず、公的な支援制度を活用していれば、借金を返して再建できた可能性がある。せめて年収の3分の1以内の借り入れで立ち止まればいいものを、消費者金融ではお金を借りられない人の傷口を広げるように銀行がお金を貸しこみ、破綻へと転落していくケースが少なくないのだという。

 

銀行の罠にはまりやすいのは、ギャンブルや買い物の依存症になったり、心や体の不調で急に収入を失ったりする弱い立場の人間が多い。

そこで本当なら、ちょっと待って、と冷静に対応する余裕を与えるべきなのだが、そんな親切心を今の銀行は持ち合わせていない。

自己破産申立件数は2016年の1年間で6万4637件に上り、13年ぶりに増加に転じた。1.2%増とわずかだが、今年1~6月のデータでは約5%増と伸び率を高めている。多くの経済指標が改善するなか、自己破産が増える理由として浮かんできたのが、銀行カードローンによる行き過ぎた貸し付けだ。

銀行カードローンの残高は今年3月末時点で5.6兆円、この4年間で1.6倍にもなった。1998年3月末以来19年ぶりの高水準だ。一方で、消費者金融による貸出額は2000年代前半から減少を続け、ここ数年は2兆円台で横ばい傾向に。伸び悩む消費者金融を横目に銀行カードローンの急伸を支えたのは、消費者金融に課せられる厳しい規制が銀行には適用されないことだ。