間もなく、AIスマホが上司になる日がやってくる

会話もメールもすべて管理され…
週刊現代 プロフィール

くだを巻くシーンすらナシ

一方、AI上司が際限なく「人間らしさ」をカバーすることは難しい。会食や接待といった「お付き合い」で、先方にビールを注いだり、朝早くのゴルフに同行してくれるわけではないからだ。逆に言えば、人間にしかできない仕事はそれくらいということでもある。

経営者がAIを導入するのは、むろん社内の能率を上げ、コストを削減するためである。AIはサボったり残業代を水増しすることもない。むしろトラブルがあれば24時間対応してくれる。

理不尽なことはしないし、邪な欲求もない。パワハラやセクハラなどの訴訟リスクも減少することを考えれば、やはり「パーフェクト上司」だ。

おまけに省オフィス化も果たせる。少しでも労働環境にムダがあることに気づけばどんどん指摘するのがAIだ。会議がメールで済むのであれば会議室はいらないし、究極的なことを言えばオフィスすら必要ないという判断を下すかもしれない。

AIの稼働には巨大なサーバーが必要だが、それは遠く離れた場所に置いておけばいい(それはそれで、サイバーテロが起こったときに恐ろしいが)。

商談や交渉もAIがいればスムーズだ。複雑な計算は人工知能に任せ、お互いの利益が合致する契約書を一瞬で作ってくれるから、社員の負担は圧倒的に減る。

 

社員を合理的に管理できるのも、経営者にとっては都合がいい。

「外回りの社員には会社支給のスマホが渡され、社員がもらった顧客の名刺やデータは社内ネットですぐに共有され、AIが最適な営業指針を教えてくれます。さらに、スマホに搭載されたGPSとメール履歴を調べれば、どこで誰と会っていたかはすぐにわかってしまう」(前出・夏野氏)

もし社内の飲み会で同僚と会社のグチを言っていたら、それはスマホを通してすべて筒抜けだ。というより、そもそもパーフェクト上司に対してグチなど生じる余地すらなくなるかもしれない。それが本当に幸せなのかどうかは、また別の話だ。

「週刊現代」2017年9月23日・30日合併号より

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/