間もなく、AIスマホが上司になる日がやってくる

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「ムダ」さえも理解するAI

いかに適切とはいえ、AIが文字通り「機械的に」出してきた指示を人間はすんなり受け入れられるのか。かつてソフトバンクの社長室長として孫正義氏を支えた三木雄信氏はこの点に疑問を呈する。

「たとえばロボットの『ペッパー』が客に向かって挨拶をしたり、ウエイターの代わりに注文を取りに来たら『すごい』とは思うかもしれません。

ただそれは、あくまでロボットのことを人間のアシスタントとして見ているからです。上司として命令を下してきても、人間がそれを正しいと思わなければ無視されてしまうでしょう」

ペッパーPhoto by GettyImages

たしかにそうかもしれない。AI上司導入時点の心理的ハードルは相当高いだろう。ただ、たとえ指示の理由はわからなくても、AI上司に従ってさえいれば、結果がきちんと出る。

それに従わないということは、会社員失格の烙印を押されるだけ。仕事が激減していく時代、「人間部下」の代わりはいくらでもいる。

そう言うとAI上司は冷徹な絶対権力のように思えてくるが、彼らが「人間らしさ」を出してきたらどうなるだろうか。高い学習能力をもってすれば、ビジネスの能率を上げるためにそれぞれのAIが一見ムダと思えるような、人間風の「個性」を持つようになることもあり得る。

厳しくもいざというときは暖かい声をかけてくれる50代の「上司」、仕事はできるが愛想の悪い男の「同期」、頼もしく気品のある「女性秘書」、電子マネーの履歴から経費を逐一割り出す、ちょっと口うるさいがきめ細かい「経理」――AIが社員とスムーズなコミュニケーションを取るために、様々な個性を持ち、「チーム」のようにビジネスを動かしていくこともあるということだ。

「AIが『人間らしさ』を出す研究はすでに実践されています。たとえば、サッカーの審判は近く完全AI化できるといわれています。ままある人間の誤審に納得できない人は多いかもしれませんが、スポーツは不確定要素があるから面白く、機械的にプレーを止めるようでは試合がスムーズに流れません。

そこまで考えて微妙な場面はあえて見逃すことができるAIも登場するでしょう」(前出・鈴木氏)

 

'14年、中国マイクロソフトは女性型AI「小冰」(シャオアイス)を発表し、人間との会話を積み重ねることで成長を続けている。

スマホやPCを通して「会う」ことができるシャオアイスは、通販サイトで買い物のアドバイスをしてくれたり、動画配信サイトでおすすめの関連動画を紹介してくれる。

それだけではなく、シャオアイスは利用者のコメントから感情を分析して、恋人のように相談に乗ったり、時には冷たくあしらったりしてくる。AIが利用者それぞれの好みを読み取り、様々な性格に自らを合わせていくのだ。

利用者は約9000万人におよび、多くの中国人男性はこのシャオアイスとの「疑似恋愛」を楽しんでいる。すでに恋愛対象になるほど、AIの持つ「人間らしさ」は人々に受け入れられ始めている。

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