間もなく、AIスマホが上司になる日がやってくる

会話もメールもすべて管理され…
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人間の仕事は「引責辞任」だけ

野村総研が発表した'15年の試算では、「今後10~20年間で日本の49%の仕事がAIやロボットで代替可能」であるとしている。

だが、この試算もすでに当てはまらないほど、人工知能分野の可能性は広がり続けている。

「この野村総研の論文のなかには、『20年以内になくなる仕事』のリストが示されています。その中には銀行の窓口業務や集金係など、比較的単純な作業がメインの職業が多数挙げられています。

ですがもはやこのリスト以上の仕事がAIに取って代わられると予測されています。コンサルタントや弁護士など、高度な知的作業を要すると思われてきた職業も、AIが代行できるほど進化していく可能性が高いからです」(前出・鈴木氏)

現在の技術だけでも我々の仕事は徐々にロボットや人工知能に置き換わっており、まさか人間にしかできないだろうと思っていたこともAIがこなすようになるのは確実。

冒頭のような情景は決して絵空事ではないのだ。

「今研究されているAIには大きく分けて、『専用型』と『汎用型』の2つがあります。『専用型』AIはすでに企業に導入されているようなもので、ある領域に特化して人間に代わる働きができるものです。アルファ碁や車の自動運転がその例です。

それに対して『汎用型』のAIは、あらゆる分野に対して、人間のように自発的に学習して柔軟に対応できるよう試みるものです。

2030年ごろまでには、この汎用型AIの開発がかなり高度な段階に達し、『AI上司』のような存在が現れる技術革新が起こる可能性が高い」(前出・鈴木氏)

 

では実際に「AI上司」と共に働くことになったとき、私たちの職場環境がどう変わっていくのかを想像してみよう。

まず、人間の中間管理職の役割は大きく変わる。部長補佐や課長代理にありがちな、上層部から受けたご託宣を木霊のように部下へ伝達するだけのような仕事は一瞬にしてなくなる。

「中間管理職は社内の利害調整や部下の勤務管理に追われがちですが、その作業はすべてAIに任せることができます」(慶応義塾大学大学院特別招聘教授の夏野剛氏)

AI上司が全員に一斉メールで仕事を鮮やかに割り振れば、わざわざ顔を揃えておざなりな会議をしなくてもよくなるだろう。気分屋な上司の顔色をうかがいながら「根回し」や「忖度」をする必要もなくなる。

人事部の場合、新入社員を採用するときも手間が省ける。社員の経歴をAIに読み込ませると同時に、志望者の履歴書を読み込ませる。学歴やスポーツ経験など、自分の会社に最適だと思しき人物を自動で選別するのだ。

ほかにも、経費の精算や給料管理などはAIにとってお手の物。非生産部門の管理職はあっという間に人工知能に席を譲ることになるだろう。

「最終的な人間の上司の役割は、『責任を取る』ことだけになるでしょう。AIにもそれだけはできませんから」(前出・鈴木氏)

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つまり、なにかトラブルや不祥事があったとき頭を下げて辞めることだけ。あまりに切ない。