「北朝鮮がどこにあるか知らない人が7割」アメリカのヒドい現実

ニューヨーク大教授の嘆息
ロバート・ボイントン プロフィール

トランプの本性を見抜いた金正恩

実は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)より先に、トランプの本性を見抜いた世界のリーダーはいなかった。

それは別に驚くべきことでも何でもない。二人はもともと多くの面で相通ずるものを持っているからだ。一族でビジネスを展開する家に生まれ、莫大な財産を引き継ぎ、恥じらいもなく嘘をつき、大げさに振る舞うことの重要性をよく理解している。

だから、ペテン師が己をよく理解するように、金正恩はすぐにトランプがいかほどの人間であるかを見抜けた。そして、この経験不足の新アメリカ大統領は、北朝鮮の脅威に対して偉そうに怒鳴りちらすことはできても、実力行使には出られないだろうと判断したのである。

 

その思惑通り、トランプはおもむろにメガホンを手に取って、金正恩はかなりヤバい奴だと喧伝し、北朝鮮が世界の強国であるという「神話」を定着させるのに一役買った。金王朝が自国民に対して数十年そうしてきたのと、まさに同じように(現実の北朝鮮のGDPはモザンビークと同程度に過ぎないのにもかかわらず、だ)。

いまも、トランプが北朝鮮についてツイートするたび、金正恩のステータスは高まっていく(9月某日は1日5回もツイートしている)。

思えば、トランプと金正恩の戦いは、大統領就任前から始まっていた。今年1月、北朝鮮が、核弾頭を搭載可能なICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験の準備が最終段階に入ったことを表明したとき、トランプは「そうはさせない!」とツイートしている。

まあ、現実には、その後16回の発射実験が行われ、9月3日にはトランプ在任中初の核実験が行われたわけだが。

北朝鮮核実験ニュース北朝鮮の核実験による地震を伝えるニュース。ソウル市内にて photo by gettyimages

ちなみに、北朝鮮がこのペースで核・ミサイル実験をくり返せば、アメリカ大統領の任期(4年)中に行われた実験回数の最多記録を更新するだろう。

トランプと金正恩の「売り言葉に買い言葉」はいまも続いている。トランプが「世界が見たこともない炎と怒りに直面するだろう」と言うと、金正恩はグアムあたりにミサイルをぶち込むと返す。それに対し、トランプはこんな中身の薄い言葉を放っている。

「何らかの行動に出た場合、誰も起こらないと思っていたようなことが起こるだろう」