ミサイルの次に日本を狙っている北朝鮮の「究極ローテク兵器」

防衛省関係者が本気で心配
伊藤 明弘 プロフィール

私は、航空自衛隊の現役ファイターパイロットにも尋ねてみた。想定しうる対処方法はというと、目視による機銃攻撃のみになる。雲間に入ったら、「もうお手上げ」だという答えが返ってきた。もちろん、高価な空対空ミサイルも役には立たないし、イージス艦のSM-3や、PAC-3地対空誘導弾ペトリオットも目標を補足できない。

忍び寄るバルーンを確実に撃ち落とすという作業は、渡り鳥を阻止するのと同じで、気の遠くなるようなものになる。もしやろうとすれば、自衛隊、海上保安庁、警察、猟友会の人々を総動員して、小銃、拳銃、猟銃を構え、日本海側に待機してもらうしかないだろう。日本海側の海岸線は5000キロ以上もあるのだ。

治安機関の通常業務に多大な支障をきたすという意味では、その時点で北朝鮮の術中にはまってしまうことになるが、撃ち落とそうと決めた場合には、やむを得ない。

それでも、天候が悪い場合や深夜に飛来するケースでは、射撃不可能である。跳弾の危険性も高い。

 

では、どうするか。そうした予想を超えた攻撃の仕方もあるということを知ることから始めるしかないだろう。軍事作戦というものは、常識外の行動を選ぶものである。どんな卑怯な手段であっても、作戦が成功すれば良いのだ。

実際には限定的な被害しか及ぼさない兵器、あるいは載っているのはビラだけで実害のないバルーンであっても、こちらが恐怖に震え、過剰反応してパニックに陥ることが相手の思う壺なのである。

こんなときだからこそ、これまでに増して、不審物には近づかないこと。そして、思いもかけない攻撃の仕方もあるという知識を持っておくこと。残念ながら、日本でもそんな心構えが必要な状況になってきているようだ。