奇跡の腸内物質「スペルミジン」で長生き、そして認知症も防げる

マウス実験では寿命が25%も延びた
週刊現代 プロフィール

スペルミジンがすごいのは、先述したとおり、その効果が、ただ単純に寿命を延ばすことだけに留まらない点だ。

記憶力、学習能力を維持する効果、すなわち、認知症の予防も期待されている。認知症を患うことなく長生きできるという都合のいい話ーーいったいどんな仕組みなのか。

 

スペルミジンが認知症を予防するのには、いくつかの現象が関わっているが、近年注目を浴びているのは、大隅良典・東京工業大学栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞した際にも話題となった「オートファジー」だ。

白澤抗加齢医学研究所所長で医学博士の白澤卓二氏が解説する。

「オートファジーとは、シンプルに言うと、細胞の中の古くなった『ゴミ』を処理する働きのこと。これによって、細胞の中はきれいになり、細胞自体の寿命が延びると考えられています。

スペルミジンには、そのオートファジーを活性化する効果があるのです。

脳の神経細胞は、記憶や学習といった機能をつかさどっていますが、ここにゴミがたまれば、その機能は損なわれていきます。

逆に言えば、オートファジーによって脳の神経細胞をきれいにしておけば、認知症の予防になるということ。スペルミジンはオートファジーを促進することで認知症を予防しているのです」

記憶力、学習能力の維持に効果があるという実証研究の結果も出ている。前出の松本氏が続ける。

「私たちは、『サイエンティフィック・リポーツ』誌にこんな研究を報告しました。

まず高齢のマウス(人間で言えば50歳程度)を2つのグループに分けます。片方の集団のマウスには、腸内ポリアミンを増やす物質であるビフィズス菌とアルギニンを投与し、もう一方にはそれを与えない。

それを6ヵ月(人間では70歳程度まで)続け、その後、迷路を使った実験でマウスの学習・記憶力の差を調べると、前者のほうが、成績がいいことがわかったのです。まだ研究は必要ですが、個人的には、人間の認知症予防にも有効な可能性があると思います」