医療界の名門で起きた「ハレンチ騒動」の結末

通報した人が、クビになり…
長谷川 学 プロフィール

教育現場であるはずの学校でこんなモラル崩壊が起きていることには唖然とするしかない。

学生の間で、教職員の「ただならぬ過去」が話題になったこともある。

「女性教員のAは、かつて埼玉県内の県立高校の臨時教員時に、男子学生にわいせつ行為をして逮捕された過去があることがわかっています。夜に17歳の男子学生と校内で待ち合わせ、抱き合ったり下半身を触ったりしたというものでした。

別の女性教員Bは、無修正の違法なアダルトビデオに出演していました。偶然、学生がインターネット上でそのAVを見つけて、大騒ぎになりました」(黒沼氏)

私は闘う

さて、こうした数々の実態を黒沼氏が公益通報したのは昨年10月のことで、学校側は対応として第三者委員会を設置。その後、今年1月に前述の校長、教務主任、女性教員Aが、さらに3月に教員Bが学校を退職した。

「ただ、その退職は一身上の都合によるものとされ、いずれも懲戒処分はなかった。唯一、学校に残ることになった事務長だけが降格処分でした」(黒沼氏)

そもそも、この第三者委員会にしても、公益通報者の黒沼氏は初回の会議にこそ出席したものの、なぜか2度目の会議前に「あなたは関係ない」と言われ、その後は委員会から排除。

さらに、公益通報後に、「教員も学生も誰もいない廃墟に通勤を命じられました」(黒沼氏)。そのうえで今年6月29日、「学校の許可を得ずに学生の相談に乗っていた」ことが就業規則違反に当たるなどとして、懲戒解雇されたのである。

黒沼氏は言う。

「私は学校だけでなく保護者にも事前連絡して承認を受けてから相談に乗っていた。このことは学生たちも証言してくれています。公益通報者保護法の規定で、公益通報を理由に処分できないので、別の理由をでっち上げたわけです。

それでいて、セクハラ行為をした校長などは懲戒処分にせず、不問に付した。問題を放置してきた頓所理事長の責任は重い」

 

一連の事態について、頓所理事長は書面で回答した。

「第三者委員会は、前校長が美脚コンテスト目的のためなどとして、複数の女子学生に対し足の写真撮影を求める趣旨の発言が存在していたこと、女子学生の胸を含む容姿についてセクハラとなる不相当な発言をした事実が存在すると認定しております」

「第三者委員会は、前事務長が女子学生の『腹』を触った事実、特定の女子学生に対してLINEでディズニーランドに誘ったこと及び手を振ってほしいというメッセージを送った事実の存在を認定しております」

このように概ね事実関係は認めながらも、「明確な性的嫌がらせなどがあったことを示す証拠が存在しないことを理由として、悪質性の高いセクハラとして認定することはできない」。対策として、今春にハラスメント防止対策セミナーなどを実施したとの回答だった。

一方で、黒沼氏を懲戒解雇した理由は、「就業規則違反による懲戒解雇」とし、公益通報との関係については、「一切関係ありません」と回答した。

組織のために公益通報したがためにみずからが職場を追われてしまうのでは、誰も公益通報などしなくなる。黒沼氏は今後、解雇を不当として裁判で争う構えである。

「週刊現代」2017年9月23日・30日合併号より