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医療界の名門で起きた「ハレンチ騒動」の結末

通報した人が、クビになり…

学生から相談を受けて、居ても立ってもいられなくなった。校長や教職員に訴えても、改善しようとすらしない。ならば自分が声を上げざるを得ない――勇気を出した。そうしたら、クビを切られた。

放置すれば自殺者が出る

「うちの学校では、校長が女子学生のナマ脚写真を撮ろうとしたり、事務長が女子学生をデートに誘ったりしていました。こうした事実を多くの学生が知っていて、教職員のモラル崩壊があまりにひどいと話題になっていました。

そこで、ある男性教員がその実態を公益通報して改善しようとしたのですが、逆に懲戒解雇にされてしまったのだからひどい話です」

国家資格の臨床検査技師試験で全国首位の実績を誇る「東武医学技術専門学校」(埼玉県さいたま市。以下、東武医専)。同校の卒業生は、そんな学校の「実情」を語る。

東武医専は臨床検査技師養成校として厚生労働大臣が指定した学校。学校法人「恵済学園」の運営で、理事長の頓所澄江氏は現職の埼玉県鴻巣市議会議員である。

臨床検査技師とは、健康診断での心電図検査や血液・尿検査、病院や人間ドックでの超音波検査、磁気共鳴画像(MRI)検査、ガン検査など幅広い分野を担当するスペシャリスト。

チーム医療が基本の現代医療にあって、臨床検査技師抜きでは医療は成り立たないと言われるほどである。

そんな臨床検査技師の国家試験合格率は全国平均で毎年70%台から80%台前半だが、東武医専は2012年から2015年まで合格率100%を誇ってきた。

「ところが、'16年はこれが98.7%に下がり、今年2月実施の国家試験では90.1%と例年の1割近くも大幅ダウンした。原因は、理事長や学校教職員のモラルハザードだと思います」

そう語るのは、今年6月まで東武医専で教員を務めていた黒沼俊光氏。実はこの黒沼氏こそ、学校の実態を公益通報した張本人である。

そもそも公益通報とは「公益通報者保護法」に基づいて行われ、刑法などに違反する可能性がある犯罪行為を通報することで、国民生活の安定及び社会経済の発展に資するもの。

黒沼氏は公益通報した理由をこう語る。

「学校という公共性の高い教育現場で、教職員による学生へのセクハラ行為が公然と行われているのに理事長以下、誰も改善しようとしない。

私のところには被害に遭った学生からの相談が頻繁に寄せられ、中には『自殺したい』とか『リストカットした』など、深刻な相談もあった。

私は理事長や校長、教職員に繰り返し改善を求めましたが、一向に対処しない。これを放置すれば自殺者が出るなど最悪の事態も考えられたため、やむなく公益通報しました」