日本人の深刻すぎる「セックスレス」をデータで検証する

これでは子供が増えるわけがない
吉村 泰典

出産・子育てにお金を回すしかない

さて、こうした現状をきちんと認識した上で、私たちは出生率を少しでも上げる方法を考えなければなりません。

冒頭で述べた2005年の「1.26ショック」から10年あまりが経ち、昨年の合計特殊出生率は1.44まで回復しています。2005年と現在で何が変わったのかというと、出産・育児をする世帯への経済的支援が向上したことが挙げられます。

2005年当時、健康保険から支出される「出産育児一時金」は子供ひとりあたり38万円でしたが、2009年10月以降は42万円に引き上げられました。42万円あれば、健康保険に加入している人なら、ほとんどの場合で出産時の自己負担が必要なくなります。

 

また、妊娠期間中は母親が妊婦検診に通いますが、その検診支援の回数も5回から14回までになりました。これによって、妊娠期間中の経済的負担もかなり軽減されました。

生まれてくる子供たちを育てるために国がちゃんと予算をつければ、出生率は上がる。これははっきりと裏付けのある事実と言ってよいと思います。しかし今のところ、まだまだ日本は子供にお金を使わず、高齢者ばかりにお金を使っているのが現実です。

ここ最近、日本の将来像についての関心・不安が再び高まっています。しかしながら、「2050年に総人口が1億人を切る」というようなことは、本質的な問題ではありません。その頃には、1年間に生まれてくる子供が現在の半分、約50万人にまで減ってしまうことのほうが、はるかに大きな問題です。

言うまでもなくその時、現在のような日本の国家システムは維持できなくなるでしょう。

今、私たちがやらなければならないのは、将来への投資として、国家予算をしっかりと子供たちのために使うことです。そのためには、極端な話ですが、消費税を15%に上げてそれをすべて子供のために使う、といった抜本的な施策も必要になるのではないかと考えています。

吉村泰典(よしむら・やすのり)1949年岐阜県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。同大学医学部産婦人科教授、日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長などを歴任するほか、第二次安倍内閣から内閣官房参与(少子化対策・子育て支援担当)を務める。著書に『間違いだらけの高齢出産』など。