人工知能が「意識を持てるか」という超難問に答える

100年後の世界に向けた哲学
金井 良太 プロフィール

精神活動のシミュレーション

リプソン教授:自己のシミュレーションは、身体をどのように動かすかというモデルに限られた話ではありません。身体の運動には動的変化や様々な時間遅れもありますし、非常に多様な要素が絡み合っています。

身体の動きをシミュレーションできるようになったら、今度は、「自分自身の精神活動のシミュレーションをロボットはできるのか?」という問題がでてきます。

これはより高次なシミュレーションで、単なる運動ではなく思考プロセスのシミュレーションを実行するシステムを作れるのかという問題です。

まさに私が自分自身に考えているときは、「考えること」について考えることができます。そして、将来の特定の状況において自分自身がどのように感じるであろうかということに思いを巡らせることもできます。

例えば、宝くじに当たったらどんな感じがするのだろうとか、昔あのときはあんな風に決めてしまったのは、どういう気持ちだったからだろうかとか、こういった「思考についての思考」は自己シミュレーションの一種です。ただし、より高次なものに、シミュレーションの抽象度を上げていくことができます。

だから、意識には際限がないのだと思います。単に「ある」か「ない」かの二択ではなく、いくらでも高次になっていくのではないでしょうか。正直なところ、人間が最上級の意識を持っているとは考えていません。