フジテレビに失望「あの番組」だけは終わらせてはいけなかった

フジのいいところが詰まっていたのに…
前川 ヤスタカ プロフィール

若手は発掘するのに…

フジテレビの未来を悲観視してしまう要素をもうひとつ挙げるならば、近年、とくにバラエティ番組において、新しいタレントを抜擢する場所が足りないということです。

「新しい波24」など人材発掘を目的とした番組はありますし、各種バラエティも発掘には力を入れています。しかし、せっかく発掘したタレントを抜擢する場所がないのです。

例えば今ちびっこに大人気の芸人、ANZEN漫才のみやぞんのケース。

彼が最初にバラエティで爪痕を残したのは、フジテレビの「とんねるずのみなさんのおかげでした」です。

とんねるずの質問に対して、度が過ぎる天然で返す彼を、番組はその後プッシュし、何度か出演する機会がありました。しかし、それはあくまで大御所からいじられる役としての彼。

現在の彼の人気の要因となっている、たぐいまれな身体能力、信じられないほどのいい人キャラ、漫画のようなエピソード、そういったものは、ほとんどが後発で彼を抜擢した日本テレビ「世界の果てまでイッテQ」で発揮されたものです。

今のフジテレビには若手を発掘する意欲はあっても、主役として抜擢する場所がないのです。

もちろんタレント業界、とくに芸人業界は上がつかえていて、なかなか中堅以下のタレントにチャンスがまわってこないのも事実です。

しかし、かつて多くの若者にチャンスを与え、バラエティ王国として君臨していたフジテレビの現状がこれというのは寂しいものがあります。

以前、この役を担っていたのは「笑っていいとも!」でした。

 

前段で書いた「久保みねヒャダ」のセンター、久保ミツロウが、「笑っていいとも!」発の最後のスターと言われたように、かつては「いいともで見つけ、いいともで試し、ゴールデンや深夜で抜擢」というサイクルがしっかりとまわっていました。

加えて、「夕やけニャンニャン」を皮切りとした夕方の若者向けバラエティや、ニッポン放送のラジオ番組などもその一翼を担っていました。

今、「いいとも」も、夕方バラエティも終わり、ニッポン放送はせっかく人材を育てても、他局にとられるというサイクルを繰り返しています。そしてフジテレビのバラエティは大御所芸人が主役の番組ばかりが残っています。

たとえ番組内の1コーナーでもいいのです。大御所にいじられるのではなく、発掘したスターが主役となる場面があればいいのですが、その場所はありません。

今回の改編においては、残念ながらそこには大きくメスは入らないようです。別に長寿番組を終わらせることだけが選択肢だとは思いませんが、改編テーマが「再起動」というのであれば、ひとつでもいいからゴールデンやプライムの番組でそういう姿勢を見せてくれればよかったのに、と思います。