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シングルモルト初体験は「ラガヴーリン16年」だった

タリスカー・ゴールデンアワー第6回(前編)

ヒノ: でも、ラガヴーリンは結構クセがありますよね。

津田: はい、クセがあります。「どうですか?」とマスターとその常連さんが興味津々でぼくをみているなか、「これは面白い味ですね」と言ったのが、ぼくの第一声でした。そしたら二人がニッコリ笑って「じゃあ、次に行きましょう」と言って、その日のうちにラフロイグ10年とアードベッグ10年を飲まされました。

この3杯を面白がって飲み干したところ、二人に拍手されまして、「このクセの強い3杯を最初からニコニコ飲める人はあまりいません。あなたは絶対に、シングルモルトの世界を端から端まで愉しめると思います。ドンドンいっちゃいましょう」と言われました。

ボブ: ヘビーピートを最初からいけるんだったら、本当にもう怖いものなしです。

シマジ: ようこそ、アイラ島へって感じですね。

津田: それからシングルモルトの底なし沼にはまってしまいました(笑)。

ボブ: あのー、今ごろすみません。じつはぼく、この後クルマを運転しないといけないので、今日は飲むフリだけで失礼します。

シマジ: 珍しいね。どこか遠くに行くんですか?

ボブ: この座談会が終わったら一度千葉の自宅に帰って、クルマで茨城まで。夏休みの特別講習で娘が筑波の病院に勉強しに行っているんです。まだ12歳なんですけど、ドクターになりたいらしくて。

津田: それは素晴らしい!

シマジ: 小さいのに野望が大きいんですね。

ボブ: うちの娘は、野望だけなら誰にも負けないと思います。

シマジ: たしかひとり娘でしたよね?

ボブ: はい、ひとり娘です。早く二十歳になってパパと一緒にウイスキーを飲みたいって、言ってくれるんですよ。

津田: フェイスブックで見たことがありますが、ボブさんのお嬢さんはもの凄く可愛いんですよ。モデルもやってましたよね?

ボブ: そうなんです、可愛いんです(笑)。むかしキッズモデルをやっていたんですよ。

シマジ: そんなにちやほやされても医者になろうという野望を抱いているのは偉いです。じゃあ、ボブは今日は香りだけで我慢して、ヒノ、お前が代わりに飲んでくれ。

ヒノ: 喜んでいただきます!

ボブ: ええ、津田さんの初めての一杯と見事にリンクしますが、今日のメインのシングルモルトはラガヴーリン16年です。

津田: 嗚呼、すばらしい! 月曜の昼間に飲むモルトは格別に美味しいですね。しかもラガヴーリン16年。いま、幸せを実感しております。

立木: ラガヴーリンのこのラベルは楚々としていて、主張しないのがいいね。「おれだ!おれだ!」っていう、シマジみたいのが多いじゃない。そういうのって、うっとうしいもんね。

シマジ、これをみて勉強しろ。人生っていうのは、こういうものなんだぞ。男は静かに生きたほうが格好いいんだよ。このラベルをみろ。「出来れば存在を知られたくない」みたいなところが気に入った。

シマジ: ラガヴーリン16年はマイケル・ジャクソンが『モルトウィスキー・コンパニオン』で95点をつけています。そしてフィニッシュを「ピートの火。温かい。クマの抱擁」と書いています。ボブ、クマの抱擁というのはなにを譬えているんですかね。

ボブ: ええと、それはですね、企業秘密ではなく、ぼくにもわかりません。

シマジ: それじゃあ、『モルトウィスキー・コンパニオン』を訳したわたしの師匠、山岡秀雄さんに電話して訊いてみましょう。もしもし、シマジです。マイケル・ジャクソンの本のなかで、ラガヴーリン16年の項で、フィニッシュを「クマの抱擁」と書いてあるんですが、これはどういう比喩なんですか?

山岡: ああ、たしかにそんな表現がありましたね。マイケル独特の表現ですが、まあ、きっと「温かくて野性味がある」ぐらいの意味でしょう。

シマジ: なるほど。よく理解出来ました。ありがとうございます。

〈後編は9月27日公開予定〉

津田一久(つだ・かずひさ)
1961年、横浜生まれ。本牧で育った生粋のハマっ子。早稲田大学法学部卒業後、大日本印刷入社。以降ほぼ一貫して包装営業畑を歩み、携わった得意先のヒット商品・ロングセラー商品も多数。伊勢丹メンズ館8階「サロン・ド・シマジ」伝説の常連、故秋山義人「教授」とは中学高校大学で後輩という間柄。「口に合わないウイスキーはあっても、まずいウイスキーはない」を銘とする、自他ともに認めるウイスキーラバー。
島地勝彦(しまじ・かつひこ)
1941年、東京都生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任した。柴田錬三郎、今東光、開高健などの人生相談を担当し、週刊プレイボーイを100万部雑誌に育て上げた名物編集長として知られる。広告担当取締役、集英社インターナショナル代表取締役を経て、2008年11月退任。現在は、コラムニスト兼バーマンとして活躍中。 『甘い生活』『乗り移り人生相談』『知る悲しみ』(いずれも講談社)、『バーカウンターは人生の勉強机である』『蘇生版 水の上を歩く? 酒場でジョーク十番勝負』(CCCメディアハウス)、『お洒落極道』(小学館)など著書多数。
ロバート・ストックウェル(通称ボブ)
MHDシングルモルト アンバサダー/ウイスキー文化研究所認定ウィスキーエキスパート。約10年間にわたりディアジオ社、グレンモーレンジィ社、他社にて、醸造から蒸留、熟成、比較テイスティングなど、シングルモルトの製法の全てを取得したスペシャリスト。4ヵ所のモルトウイスキー蒸留所で働いた経験を活かし、日本全国でシングルモルトの魅力を面白く、分かりやすく解説するセミナーを実施して活躍しています。