田中角栄こそ、AIに淘汰されない究極の人材である

生き残りたいなら、メカトロ人材になれ
鈴木 貴博 プロフィール

この外科医のように「診断や判断をする頭脳と、メスを動かす肉体が一緒になって行う仕事」のことをメカトロ人材の仕事と名付けよう。このようなメカトロ人材の仕事は簡単には人工知能にとって代わられることはない。

しかもメカトロ人材の仕事は、なくなるどころか人工知能の発達で以前よりも楽になる可能性がある。

 

これからの外科医にとって、たとえば新たな医学論文を読む仕事、新しい術式を勉強する仕事、これまでに見たこともない症例について何か似た症例が世界のどこかで発見されていないかを検索する仕事、こういった仕事はすべて人工知能に外注できるようになる。

手術にあたっての事前の検査や、手順確認も人工知能に任せることで大幅に業務を減らすことができるようになる。だから未来の外科医はメカトロ人材としての手術の仕事の役割にかなりの時間を割いて専念することができるようになるだろう。

このように、これからの20年間、人工知能の力によってパワーアップされた人間がその肉体を使って活躍するようなメカトロ人材の仕事は、生き残りやすいだけでなく、未来の方が今よりもずっとうまくできるようになるという、おいしい仕事なのだ。

他にも、こんな仕事が生き残る

ただし、医者になるのは今も将来もかなりハードルが高いのは確か。いわゆる普通の人はどうすればいいのか。

メカトロ人材の仕事に、石油探査のフィールドエンジニアという仕事がある。これはたとえば油田の候補地に出かけて予備掘削をした深さ1000から2000メートルの穴にセンサーをおろしていって、この先、本格的に油井を掘った場合にどれくらいの確率でオイルが吹きあがってくるのかを探査する仕事だ。

石油探査の場合、本格的な油井を設置するのに仮に一億円かかるとする。それだけのコストをかけて地下数千メートルの油井を掘って何も出なければ大きな損失になる。そうならないように数百万円かけて予備掘削をし、フィールドエンジニアが十数平方キロメートルの権益のある砂漠のどこに油井を設置したらコスト効率がいいかを調べるのだ。

このフィールドエンジニアの仕事は高度な専門知識を必要とする頭脳労働であると同時に、タフな肉体労働となる。砂漠の油田候補地にでかけてそこに数カ月滞在し、過酷な環境下でさまざまなセンサーを地中深くに設置してはデータをとる仕事だからだ。

その分、給料は20代でも銀行の支店長よりも高いし、ひとつの仕事が終わると連続して100日の休暇がとれるので、中東の職場から地中海のリゾートに移動してロングバカンスを楽しむことができる。このような仕事は人工知能が発達するほど楽になる一方で、その仕事がなくなる心配をする必要は一切ない。おいしいことづくめだ。