「痴漢」は病気です。些細なきっかけで誰でもなる可能性があります

「四大卒の会社員で既婚者男性」が多数
大泉 りか プロフィール

SUSHI、TEMPURA、CHIKAN

以下、本文から抜粋する。

「痴漢行為は性犯罪として罰せられるものですから、“性”と切り離して考えることはできません。ですから、痴漢は『性欲をコントロールできない者』もしくは『性欲を解消する機会がない、モテない者』というイメージで語られがちです。(中略)

しかし、痴漢を突き動かしているものは、性欲だけではないのです。さらに言うなら、すべての性犯罪の動機を性欲だけに求めると、そこにある暴力の本質を必ず見誤ることになるため、大変危険です」

(『男が痴漢になる理由』より)

 

同書には、2013年、榎本クリニックで行われた痴漢加害者約200名への聞き取り調査、「痴漢行為中に勃起していたか」の回答も記されている。

・行為中に勃起している=約3割
・行為中に勃起していない=約5割
・どちらの場合もある=約2割

性犯罪なのに、勃起すらしていないとはいったいどういうことなのか。著者の斉藤章佳氏さんに、実際に話を聞きに行ってきた。

当院に来るのは、性犯罪の加害男性、それもほとんどが逮捕された後に来ます。かなり常習化した人たちばかりです。けれども、ごく普通の家庭を持ったサラリーマンが多いのです。というのも、満員電車に朝乗って、帰りにもまた乗る。その匿名性と男女が密着したストレス過多の空間に適応するひとつの方法として、彼らは痴漢という性暴力を選択します。

満員電車は1日の活動するエネルギーを吸い取られるぐらいの凄まじいストレスです。ああいう非日常的空間に人間ではなく何かの物のように毎日閉じ込めら、目的地に向かうこと自体が異常な乗り物だと感じます。彼らはその中で、家庭内の問題や仕事のストレスへの対処行動として、痴漢を繰り返してしまう。依存症というものは、一種の環境への適応行動なんです。

斉藤章佳氏

だから、外国の人たちも日本に来て痴漢を覚えたという人もいますよ。『日本には満員電車の中で起こる、CHIKANという性犯罪があると有名だけど、本当にあるんだ!』って。今やTEMPURAやSUSHIとかと同じように日本の名物とされています。

また、これは本当かどうかリサーチが必要ですが、アジア圏の富裕層の間では、日本への痴漢ツアーがあると聞いたこともあります。日本にわざわざ痴漢しに行く人さえもいるということを、日本で痴漢で逮捕され治療につながったあるアジア系外国人が話していて驚愕しました。

治療に来ている外国人は母国では性犯罪歴がなく、日本の満員電車を利用するというライフサイクルの中で痴漢を学習します。学習された行動ということは、再学習すれば治すことが出来るということです」(斉藤氏)
                                      痴漢の多くは、性依存症という病気なのだ。だからこそ、満員電車に乗る機会の多い、ごく普通のサラリーマン男性がなってしまうのもうなずける。