中国で大炎上した「慰安婦スタンプ」と「日本軍コスプレ」

表現の自由か、不謹慎か…
安田 峰俊 プロフィール

8月27日には上海の警察当局が動き、「”慰安婦”の老人の苦難の歴史のありかたと社会的評価に対してよからぬ影響をもたらした」との理由で、同社に罰金1万5000元(約25万円)と当面のネット接続禁止や業務停止が科された。

ほか、警察当局の公式微博(中国版ツイッター)が、同社の関係者が肉筆で記した反省文をネットに晒すという「私刑」に近い処置もおこなっている。

 

確かに、元慰安婦の顔写真を勝手にスタンプに使って売る行為はNGだとは思うのだが、当局が著作権問題ではなく道徳的な問題を理由にして、民間企業を公然と処罰するのは、やはり中国ならではの現象だろう。

『人民日報』などでも、慰安婦をパロディ化する振る舞いそれ自体がけしからんという主張がなされている。もっぱら「表現」の部分がクローズアップされ、当局の旗振りのもとで規制が敷かれているとなると、ちょっと腑に落ちない部分も覚える話だ。

日本軍コスプレで炎上する人々

いっぽう、近年の中国で多いのがコスプレにまつわる「炎上」である。コスプレは目立ちたがり屋の中国人の心性に合うためか、中国では2000年代から「COS」と呼ばれて独自の進化を遂げており、極めてハイレベルなコスプレイヤーを多々輩出している。また、娯楽の多様化によってミリタリーオタクや歴史オタクも増えており、都市部を中心に仲間同士の強固なコミュニティも形成されている。

そこで今年8月に問題化したのが、ある軍装コスプレ同好会を主導する青年(ハンドルネーム「リボンズ・ヴィッセン」氏)の呼びかけでおこなわれた、日本軍コスプレのオフ会だ。彼らメンバー5人は8月3日夜、大日本帝国海軍の各種の軍装を身にまとい、1937年の第2次上海事変で最後の激戦となった「四行倉庫の戦い」の舞台である倉庫前で撮影を敢行したのである。

日本海軍コスプレをおこなった軍装マニアのグループ。この4人のほかに撮影者も処罰を受けた模様。四川省・浙江省・北京など各地からわざわざ上海に撮影に来たようで……(現地報道より)

後に流出したヴィッセン氏のQQ空間(個人ページ)への投稿内容によれば、集合した彼らは旧日本軍の軍歌を口ずさみつつ往年の将兵に思いを馳せ、夜間に倉庫前の人通りが絶えた一瞬を狙って、「夜襲」と称して激戦地跡で記念撮影をするというエッジーすぎる活動を展開。だが、別のネットユーザーにその投稿内容を暴露されたことで、一気に炎上することとなった。

結果、またもや上海の警察当局が動き、8月23日に中心人物の3人が行政拘留処分に。ほか未成年メンバーの2人が訓戒処分となった。警察側によると「多くの人民群衆の愛国的感情を極めて傷付け、中国の特色ある社会主義核心価値観に背き、悪しき社会的影響をもたらした」ゆえにけしからんとのことで、治安管理処罰法に違反しているそうである。