「事務所が上場」ユーチューバーはこれからどうやって儲けるのか

ネット広告の単価は下がる中で
加谷 珪一 プロフィール

その額なんと年間2億円

同社は現在、約180名の専属クリエイターを抱えており、このほかにも多数のクリエイターと外部協力関係を結んでいる。

同社はクリエイターに代わってグーグルと広告に関する契約を結んでおり(グーグルが提供するアドセンスと呼ばれる広告管理システムを利用する)、閲覧に伴う広告料金は一旦、UUUMに入る。UUUMは一定の手数料を差し引いて、クリエイターに広告料金を還元する仕組みだ。

このほか、企業とのタイアップ企画などを行っており、収益の一部がクリエイターに還元される。

一般的な芸能事務所は、所属タレントに対して毎月一定額を給料のように支払うシステムを採用しているところと、出来高に応じて支払うシステムを採用するところに分かれるが、UUUMは出来高払いの芸能事務所に近い形態とみてよいだろう。

UUUMホームページより

個別のユーチューバーにいくら支払われているのかは不明だが、同社の業績などからおおよその金額を推定することはできる。

同社が受け取る広告料金などから概算すると、ユーチューブにおける広告単価(1閲覧あたりの広告料金)は0.1円程度と考えられる。

これはあくまで平均値であって、広告単価はユーチューバーによって大きく異なっている可能性が高い。閲覧回数が極めて多いユーチューバーの単価はさらに高く、閲覧回数が少ないユーチューバーの単価は安くなる。

ネットで広告料金の一部を明かしているユーチューバーの情報などを総合すると、閲覧数が少ないユーチューバーの場合には単価が0.01円程度になってしまうこともあるようだ。また、一定の閲覧数に達しない場合、そもそも広告が入らないので、広告収入はゼロとなってしまう。

現在、国内のユーチューブの登録者ランキングのトップ10のうち7つが、UUUM所属のタレントが提供するチャネル(番組)で占められるなど、UUUMは今のところ独占に近い状態となっている(2017年8月時点の累計)。

UUUMに入る広告料金や広告単価、各ユーチューバーの登録者数などから考えると、トップランキングに位置しているユーチューバー1人が稼ぎ出す広告料金は2億円近くになると推定される(2016年時点)。

このほか企業とのタイアップなど別の収入源もあるのでユーチューバーの稼ぎはさらに大きいはずだ。

 

PERは148倍!

ブログによる広告収入も似たようなものだが、この業界は勝者総取りの図式になることが多い。ユーチューブ全体で得られる広告収入のほとんどが、ごく少数の人気コンテンツに集中することになる。

この業界で生計を立てられるごく一部の人は、かなりの年収となるが、それ以外の人は、生活できる水準とはほど遠い額しか稼げないというのが実態だろう。

しかも、広告料金は今後さらに低下してくる可能性が高い。グーグルはユーチューブ単独の情報を開示していないので、全体から推測するしかないのだが、同社が扱うネット広告の単価は、ここ数年で半額程度まで下落している。

広告単価が下がってもネットの利用者や閲覧数の総数が増えることでグーグルは増収を続けることができたが、今や、ほとんどの人がスマホを持ち、日常的にネットにアクセスしている状況を考えると、今後、閲覧数が飛躍的に伸びるとは考えにくい。

一方、ネット上のコンテンツの数は増える一方なので、コンテンツの提供者が獲得する広告料金はさらに減少せざるを得ないだろう。