なぜ外科医はそこまでして患者の体を「切りたがる」のか

切らなくていい場合でも…
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現実に人工関節手術は年間約8万件行われており、その数は右肩上がりに増えている。

だが、医療法人社団八千代会理事長で整形外科医の寺尾友宏氏は、安易な手術に警鐘を鳴らす。

「私は徹底的にリハビリを行うクリニックを運営していたこともありますが、実際、そこでしっかりリハビリを受けていただくと、ほとんどの患者さんが良くなるんですよ。

しかし、それではたいした治療費にならず、病院としては『割に合わない』のです。理学療法士も雇わないといけないので余計なコストもかかる。

一方で人工関節は整形外科医の間で『ドル箱』と呼ばれるほど実入りがいい。入院費用も含めて300万円くらい売り上げが立つと言われています。リハビリより断然、手っ取り早く儲かるわけです。

しかし、人工関節にした直後は痛みが和らぎますが、術後1~2年で違和感を訴えられる患者さんも少なくありません」

人工関節は一旦入れると、もう後戻りはできない。しかも金属が徐々に磨り減っていくので、通常は10年ほどで交換しなければならない。一生のうちに2度、3度と交換が必要になり、その度に数百万のおカネが医者に入ることになる。

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心臓外科医で昭和大学横浜市北部病院の南淵明宏氏も続ける。

「医者が患者をコントロールする最大の原資は『恐怖』です。医者から『死にますよ』と言われれば患者さんは思考停止に陥ってしまう。

本来ならバイパス手術のほうが有効なのに『心臓のバイパス手術は怖いでしょ。でもカテーテル手術なら大丈夫です』と都合のいい手術に誘導していくことも多々あります」

不必要に不安を煽り、患者の恐怖につけこむ医者の言葉を鵜呑みにしてはいけない。

「週刊現代」2017年9月9日号より