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障害者と家族からカネを奪う「悪質後見人」その卑劣

成年後見制度の深い闇 第5回
長谷川 学 プロフィール

「え! 意思表示できるんですか?」

ちなみに、後見信託の設定をすると、弁護士らは報酬を受け取る。その報酬額は設定する流動資産の金額(つまり被後見人の財産の多寡)によって異なるが、最低でも20万円はもらえる。短時間で効率的に稼げるというので後見信託に関するセミナーは弁護士、司法書士らの間で大人気であるらしい。

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こう書くと、

「何を言うか。後見人の業務はそんな簡単なものではない。楽して稼げるなんて、とんでもない」

と憤る、真面目な専門職後見人の方もいらっしゃるだろう。もちろん、その通りなのだ。だが残念ながら、そんな専門職後見人は多くないのが実態だと言われる。

 

今回取り上げた房子さんの娘・陽子さんに後見人としてつけられた弁護士は、呆れたことに、後見人として支援を義務付けられている被後見人、つまり陽子さん本人とはこの記事の公開時点まで、会ったことすらない

母親の房子さんが「娘はある程度意思表示ができる」と話すと、弁護士は「え! 意思表示できるんですか」などと驚いていたという始末なのだ。

今年7月、房子さんは自分の思いを綴った手紙をさいたま家裁の裁判官に送った。

<私は母親です。1076グラムで生まれて、死ぬか生きるかでスタートして以来33年間頑張り続けてきました。やっとの思いで生きてきたのに!! 急に何の説明もなく信託だと言われても納得できません>

裁判官からの返事はない。