「伝わらない」が「伝わる」に変わる、魔法の日本語トレーニング法

本を読む?日記を書く?いいえ違います
野矢 茂樹 プロフィール

―7章で引かれている「教育とは質問できる生徒に育てること」という言葉は印象的でした。

「的確な質問力」を磨くことはこの本の重要なテーマのひとつです。

「こういう質問をしよう」と考えながら文章を読んだり話を聞いたりすることで、能動性が磨かれ、自分を活性化することができます。

引用元である『たった一つを変えるだけ』(ダン・ロスステイン、ルース・サンタナ著)には、「教師が質問しているかぎり、生徒の質問力は育たない」とも書かれています。この言葉は本当に衝撃的でした。

 

―終章「反論する」では、遺伝子組み換え食品の是非などの議論を参照し、賛成・反対の根拠や論理を解説。対立する議論をどう整理するか、多様な考えをいかに理解するかの学びにもなります。

本やニュースなどを読む時、自分に納得できるものだけを受け入れようとしたり、考えに合わないからと拒絶していることはないでしょうか。すぐに拒否するのでなく、「ホントカナ?」と立ち止まって、相手の議論の説得力を冷静に見積もることがだいじです。そしてその議論に説得力があると判断したら、受け入れる。説得力がなかったら反論する。

理解しあうこと、納得しあうことは難しいことですが、それでもなお、「考えは人それぞれ」と諦めるのではなく、不完全でもいいから分かりあおうとする姿勢が大切です。そして、分かりあおうとする努力を支えてくれるものこそ、「言葉の力」に他ならない。

読み終わった後に、「自分のキャラがちょっと変わったかな?」と感じてもらえたら嬉しいです。少しでも変わることができれば、やがて積み上がって、一人ひとりの「国語」も変わっていく。そう期待しています。

(取材・文/伊藤達也)

『週刊現代』2017年9月9日号より