北朝鮮危機の陰で激化する米中の覇権争い

「一帯一路」構想でイランにて衝突が起きる
笠原 敏彦 プロフィール

安全保障の空白地帯は必ず…

さらに、「一帯一路」の将来をめぐり米中がパキスタン以上に決定的に衝突しかねないのがイランである。

シルクロード経済ベルトは主に以下の3ルートから成る。

① アジアからインド洋に至るルート(パキスタンが焦点)
② 中央アジア、ロシアを経てヨーロッパへ至るルート
③ 中央アジア、西アジアを経て地中海に至るルート

このうち③のルートで成否の鍵を握るのがイランだ。地図を見れば一目瞭然であるが、中国から地中海に抜けるにはイラン経由が圧倒的に最短ルートとなる。

イランとパキスタンはアラビア海に面して国境を接し、両国が内陸国のアフガニスタンを包み込む位置関係である。

Google Earthより

トランプ大統領は、アフガン駐留の無期限継続を決めた理由として、撤退すればテロ組織がその空白を埋めるからだ、と説明した。しかし、理由がそれだけでないことは、地図を見るだけでも明らかだろう。

米軍が撤退した場合、アフガンの安全保障上の空白を埋める「敵」としてまず懸念すべきは、イランであり、パキスタンである。そして、その背後に中国がいるということになれば、アメリカには手痛い教訓が蘇る。

教訓とは、中国の南シナ海での膨張主義である。

中国は1974年、米軍の南ベトナム撤退後の空白を突くようにパラセル(西沙)諸島を軍事支配し、1992年の米軍のフィリピン撤退後にはスプラトリー(南沙)諸島で軍事進出を強めた、という歴史があるのだ。

「力の空白」は必ず野望を持った国に狙われる、という現実は動かしがたい。

 

焦点となるイラン

イランではすでに、「一帯一路」構想に沿った鉄道の近代化プロジェクトなどが中国人労働者も動員して進められているようだ。

こうした中、米誌「フォーリン・ポリシー(FP)」が7月下旬に気になる独自ニュースを報じた。

トランプ大統領が、イランが核合意に違反している証拠を見つけるようホワイトハウスのスタッフに指示したというのである。