甲子園でも参考にすべき新時代の投球基準「ピッチスマート」とは

メジャーリーグでは当たり前
長谷川 滋利 プロフィール

MLBのガイドライン「ピッチ・スマート」とは?

次に、もっとも議論される投手の酷使、球数についてです。

率直に言わせていただくと「良くなってきたけれど、まだまだ選手を守るレベルに達していない」というのが僕の感想です。

今回、ベスト4に残ったチームはいずれも複数の投手を登板し、効果的に使い分けていた印象があります。監督の手腕と理念には拍手を贈りたいですね。

ただ、その一方で、やはり酷使といってもいいレベルの起用も目立ちました。

 

例えば優勝した花咲徳栄のエース・網脇慧投手は全6試合で先発のマウンドを託されました。

1回戦を8回92球(無失点)、中5日で2回戦は7回途中80球(3失点)、続く3回戦は中2日で7回途中105球(3失点)、連投となった準々決勝は8回120球(1失点)、準決勝は中1日で4回途中60球(4失点)、決勝も中1日で5回途中77球(3失点)。6試合で計534球を投げています。

同じく夏の甲子園でエースとして決勝まで進んだ例を挙げてみると、80回大会の松坂大輔投手(横浜/ソフトバンク)の6試合767球、88回大会の田中将大投手(駒大苫小牧/ニューヨーク・ヤンキース)が6試合658球と、それよりも若干の改善はありますが、問題解決には至っていないのが現状です。

身体が仕上がっていて、肩も強くなったプロだって週に1度、100球投げたら中5日は休ませるのに、成長過程のティーンエイジャーがそれ以上に投げるということの意味をもう一度、考えるべきです。

2014年、MLBは医師をはじめとした専門家の意見を基にしたガイドライン「ピッチスマート」を発表しました。これは年齢ごとに1日の球数の上限、その球数によって必要な休養日を細かく定めたものです。

例えば17-18歳だと、1日の球数の上限は105球。31-45球を投げた場合は中1日の休養が必要で、76球を超えると最低でも中4日の休養が求められます。

甲子園では球数制限という案もあるようですが、それをしてしまうと待球作戦、無駄なカット打法が横行するのは目に見えています。となるとやはり日程の見直しが必要だと僕は考えます。

上記の花咲徳栄の例でいうと、1-2回戦はまったく問題ありません。問題は3回戦以降です。それを避けるために大会期間を5-6週間とって、3回戦以降は週末のみの開催というのはどうでしょうか。確実に中5日は休養が取れますし、その間の準備も含めて本当に強いチームの在り方が問われてくると思います。

もちろん、これはただの僕のアイデアですが、多くの人が様々なアイデアを出して、検討していくことこそ、甲子園のあの熱狂を保つ、選手の将来を守ることにつながります。みんなで意見を出し合っていきましょう。