日本代表「10番」の先輩でもある名波浩監督のもと、中村は充実した日々を送っている。ジュビロは昨季の上位チームである鹿島アントラーズ、川崎、浦和レッズ、ガンバ大阪のACL(アジアチャンピオンズリーグ)出場組から白星を挙げ、現在6位につけている。中村のシャドーもハマり役と言っていい。
中村はこう語っている。
「シャドーはやってみたかったポジションではあるし、自分なりに楽しんでいる。ただポジション的に言えば、シャドーとしてはより前線での仕事を求めていきたい」
「『ここだ!』というときに自分が動いてパスを受け、その瞬間に1トップの川又(堅碁)が裏に出ようとしているか、味方がどこに動いているのかを確認して、パスを狙うのが第一の選択肢。トップ下のときは相手を揺さぶったうえで1トップの足元や裏のスペースを狙っていたけど、今はその揺さぶりの部分をまず味方に任している」
「自分はゴールの1つ前、2つ前のプレーを意識するようになった。要は、ボールを触る回数がトップ下のときより少なくても、ボールを持ったときにいかに有効なプレーができるかどうか」
味方を活かし、自分を活かす。ボールを持っている時間は当然ながら、ボールを持っていない時間でも存在感を発揮する。潤滑油になればなるほど、質も量も上がっていく好循環に入る。
引き分けた第23節ホームのセレッソ大阪戦(8月19日)でも中村はよく走っていた。両チームで3番目となる10.981km。夏場だろうが、スタミナも落ちない。
考えて走るとは、どういうことか。それを知りたければ中村俊輔を見ればいい。