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羽生善治がNTTの研究所で出会った「グローバル聖徳太子」とは?

AI技術の広がりを体感する

AIをどう社会に組み込んでいくか

羽生 AIは何がいちばん得意かと言われたら、最適化です。決められた条件の中で、ある答えを見つけ出すとか、とんでもない桁の計算をするということで、人間ではわからないようなものが解明されたり、新しい発見があるんじゃないかと思っています。

篠原 そうですね。本当に膨大なデータを相手に、そこの中から最適解とか最小値みたいなものを探すというのは、AIがいちばん得意な部分ですから。このあたりの技術を使って、いかに社会的に有用な答えを出せるような分野を探していくか。そこは急いでやる必要があると思います。

羽生 たとえば、渋滞を解消するとか、電車のダイヤをどういうふうに組んだらいいかとか、いろいろ考えられますよね。

篠原 渋滞を予測したり、渋滞を解消したりするにはどうすればいいかというのは、すでに中国やロンドンを舞台に実験を始めているんです。ただ、どれだけ人間がAIの言うことを聞いてくれるかが問題でして、「いや、やっぱり俺はこっちの道のほうがいい」とかね(笑)。一人ひとりにとってのメリットを示さない限り、なかなか言うことを聞いてくれないというのが、技術以外のネックとしてあります。

羽生 その問題も、たとえば2割くらいの人はだいたいAIの言うことを聞かないとかそういうデータが蓄積されていくと、先回りして提案することができるようになるかもしれませんね。

AIはいま、世界中で開発されていますが、それぞれの国や地域の文化が実は反映されていると思うんです。ステレオタイプな感じ方かもしれませんが、たとえば欧米だとやっぱりターミネーターみたいなもので、日本だとドラえもんのようなものがイメージされたりします。

私自身は、人間を中心として、人が暮らしていくなかにAIがどうあるべきかという視点で普及していくのが、いちばん摩擦も少ないでしょうし、そういう方向に進んでいってほしいなと思っています。

篠原 AIはArtificial Intelligenceの頭文字ですが、人をサポートして、人をよりよくするという意味では、「Intelligence Amplifier」という言葉もあります。AIではなくて、IA。人の機能を補強して補完する。そういう方向に、我々の研究開発も進めていきたいと思っています。

羽生 今日、研究所を見学させていただいて、NTTの基礎研究の底力のようなものを感じました。ものすごく興味深かったです。ありがとうございました。

篠原 こちらこそ、どうもありがとうございました。またぜひいらっしゃってください。

〔構成・松本博文〕

(了)