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羽生善治がNTTの研究所で出会った「グローバル聖徳太子」とは?

AI技術の広がりを体感する

篠原 AIというとどうしても「考える・答えを出す」という部分に注目が集まるんですけど、実は人間が考えたり答えを出したりする前に、外界を認知して理解するというインプットが大事ですよね。

たとえば騒々しいパーティ会場であっても、どこかで自分の名前が出た瞬間にパッと耳に飛び込んできます。この仕組みはよくわかっていないんです。人間の耳は音を理解してからそこに注意を向けているのではなくて、理解する前段階で何らかのフィルターをかけている。

そういう部分を含めて人間のインプットとアウトプットの謎を研究しようというのが「Heart-Touching-AI」ですね。

AI同士をつなぐ

篠原 最後の4番目は「Network-AI」。これは2つの意味合いで使っています。

1つはAIの技術をネットワークに応用することによって、安定した止まることがないネットワークを作っていこうというもの。

本命はもう1つの方で、AIというのは偏った答えが出る場合がありますよね。そうなった場合にAI同士が連結して、集合知となって答えを出す。たとえば大震災のような広域の災害が起きた時に、仙台エリアでのAIが出す答えと日本全体を見たAIの出す答えは当然ながら……。

羽生 違いますよね。

篠原 そうなるとそれを調和させないといけないですよね。全体最適の答えも出せるし、局所最適の答えも出せるようなAI同士の連結に挑戦しています。いま私たちが取り組んでいるのは、気象情報ですね。非常に広範囲の気象と、地域的な気象をうまく結びつけて、新しい気象情報を出せないかということをやっています。

羽生 本当にAI技術が切り開く可能性の広がりは途方もないですね。

たとえば、ものすごい大量のデータがあって、人々の行動パターンが見えてくると、1時間後はこの街にはこれぐらいの人がいて、こんな感じになりますという近未来予測はできるようになってくるんですか?

篠原 我々もそういうことを考えています。何か大きな災害などが起きたときに、個人の最適化によってみんなが一斉に同じ方向に移動することによって混雑が集中してしまうのではなく、集団の最適をとることによってより全体がスムーズに移動できるという観点では、近未来の予想はすごく大事だと思います。

ただ一方で、そういう非日常的なことではなくて、日常的な生活の中ですべてが同じような判断基準で、同じような方向に人が動くということが、人間にとって楽しいのかというと、そんなものは絶対楽しくない。

羽生 ええ、そうですね。

篠原 だから、最初にお話しした通り、我々はAIという技術を使うことによって、より楽しくなる、より生活が豊かになるという方向に行かなきゃいけないんだと思います。

羽生 なるほど。そういう意味でのサービスというか、将来性が一番ありそうなものというと、どういうジャンルが考えられますか?

篠原 たとえば少子高齢化の問題を考えた時に、いかに一人一人が住みやすい、生活しやすい環境を作っていくかということに対して、AIが役に立つこともあると思います。