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羽生善治がNTTの研究所で出会った「グローバル聖徳太子」とは?

AI技術の広がりを体感する

AIの信頼性をどう高めるか

篠原 私たちが考える2番目のAIは「Ambient-AI」。アンビエント、ようするに周囲ですね。人間やモノや環境を読み解いて、近未来を瞬時に予測して制御していこうというものです。

危険な運転を自動検出するAIや、装置の故障の前兆となる変な音を探すAI、製造過程の品質予測などを研究しています。最近話題になったものでは、AIタクシーというのもあります。どこを走ればお客さんを拾いやすいか、AIが示してくれるのです。

羽生 あ、それは先日NHKで紹介されていました。あれはNTTの技術だったんですね。

篠原 携帯の電波から、どこにどれくらいの人間がいるかという分布を作るんです。かつてはそれを「データ」として処理していたんですけど、今はそのデータをもとにヒートマップのようなものを作って「画像(絵)」として処理するんです。そうすると高速で計算することが可能になります。この技術は、名古屋のタクシー会社に採用されて、実績をあげられています。

篠原弘道(NTT副社長・研究企画部門長)

羽生 コンピュータの計算能力の向上は私たちにもわかりやすいですけど、データを画像として処理するような、圧縮する技術も見えないところで進んでいるんですね。

先ほど見せていたたいだ、すばる望遠鏡が撮影した画像から超新星を探し出すAIというのも面白かったです。人間では気づかないような特徴を、AIはパッと抽出できる。

篠原 そうですね。ただ、その時にやっぱり気になるのは、AIによってポンと結果だけが出てきて、どうしてそうなったのかはブラックボックスになっていることです。「答えはこうなんだ」と言われても受け入れがたい部分もあると思うので、それを人間にどう説明するか、納得感を持ってもらうかというのは合わせて考えていかなければいけません。

羽生 たしかに、そうですね。医療の分野だったらたった一つの間違いが命に関わる話になってしまいます。ポンと結果だけを出されても、人間がそれをどう受け止めるかは難しい問題だと思います。

篠原 AIの技術はディープ・ラーニングとかニューラル・ネットワークとかさまざまありますけれども、実は一番大事なことはいかに正しいデータを揃えるかなんです。そのデータが間違えていたら、どんな答えも信用できなくなってしまいますから。

人間の「謎」に迫る

篠原 私たちが考える3番目のAIは「Heart-Touching-AI」です。

これは、人間の心や身体を読み解いて、本人も意識しない深層心理や本能などを、まずは理解しようとしています。そのうえで、それを本人にフィードバックすることで、できなかったことをできるようにさせる、ということを研究しています。

具体的には、スポーツ脳科学ですね。一流の選手と二流の選手は何が違うのかというと、もちろん体の筋肉とかもありますけれども、それ以上にやっぱり脳なんです。脳がどういう指示を出すかによって体が動きますので、脳がスポーツに与える影響を研究しています。

羽生 私も体験させていただいた、無意識の瞳孔の動きから、野球のバッターの心を読み解くという装置。私は初めて知ったんですけど、すごく可能性のある世界だと思いました。

目の動きのデータを計測。ピッチャーに対する注意範囲がどの程度かがわかる

篠原 スポーツの実戦での人間の緊張度も測れるようになってきているので、緊張状態の中で最高の力を発揮するにはどうしたらよいかとか、いわゆる「コツ」とは何だろうとか、そういう疑問に対して、面白い結果を出せたらと思っています。

羽生 東京オリンピックもありますし、すごく期待しています。