「名古屋のカネ持ち」は、結局どれくらい金持ちなのか

好景気の街で広がり続ける「格差」
週刊現代 プロフィール

名古屋人は見栄っ張りとも言われる。気前よく財産を使う資産家が多いのも、名古屋の特徴だ。ただし、その使い途は、ただの無駄遣いにならないよう目的を絞ったものであることが多い。

「ココイチ」の愛称で知られる「カレーハウスCoCo壱番屋」創業者、宗次徳二氏(68歳)もそんな資産家の一人だ。ただ、その規模には度肝を抜かれる。

Photo by iStock

'02年に宗次氏は会長業から引退し、'15年には資産管理会社が保有する同社の株式23%をハウス食品に売却した。単純計算で220億円超も資産を得たとされる。その宗次氏は「私個人の資産はすべて社会にお返しする」と明言する。

なぜ派手好きなのか

実際に宗次氏は自身が理事長を務めるNPOを通じ、今年も愛知県の学校に1億円相当の楽器を贈呈した。貧困問題の解決に奔走する市民団体にも毎年7000万円程度の寄付を行う。

さらに学費に困る子供たちへ奨学金を提供。慈善活動のすべては宗次氏のポケットマネーで賄われ、その額は年間2億5000万円にも上る。宗次氏が言う。

「私は別に自分がリッチマンだと思っていませんし、贅沢をしたいとは思わない。でも、社会貢献活動におカネを使うと、人が喜んでくれるんです。その笑顔を見るのが好きでね。

ビジネスで成功したからといって、私が自分一人の力で富を築いたわけではありません。多くの人の手を借りて、また少なからず社会にご迷惑をおかけしてビジネスをやってきました。その結果、手元に有り余るおカネが残ったのなら、それは社会に返すのが当然だと思います。

世の中には、資産を築くために資本主義があって、競争があるから経済は発展したんだとか、勝者と敗者の選別が資本主義の本質だとか言う人がいます。そして、貧しい人を指差して、自己責任だと決めつける。

でも、ギリギリの生活をしている人を放っておくのは、無責任な話でしょう。ある程度、富を得た人は1割でも2割でも社会にお返しするのが道理です」

 

そういう宗次氏の金銭哲学は、自身が孤児院育ちという幼少期と無縁ではない。

「私は孤児院で物心がつき、今も実の両親のことは知りません。養父はギャンブル好きで、極貧の暮らしを送ってきました。とにかく生活はメチャクチャで、家具はリンゴ箱が一つだけ。家賃を払えないから、家は半年から1年で追い出される。学校には弁当も持っていけませんでした。

でも、私は自分が不幸だとは思わなかった。根がのん気だったんでしょうね。だから、カネ持ちになりたいとか、大きな仕事をしたいとか考えたこともないんです。ささやかなことでも人に喜んでもらいたいという気持ちだけ。それが壱番屋の事業にもつながったし、今の活動にもつながっているのかもしれません。

人のためにおカネを使うことは、自分が満ち足りることなんです。だから私は今、究極の贅沢をさせてもらっています」