アパレル業界は、どうやら「死にかかっている」かもしれない

コストカット続きで現場は悲鳴
週刊現代 プロフィール

一方、大手アパレル企業には、OEMメーカーに企画、生産を丸投げするところが出てくる。品質の差は、見る間に縮んだ。

「'90年代に入るまでは、百貨店のブランド服と低価格帯の服には圧倒的な見た目の差がありました。スーパーで買ったジーンズを穿いた後に、7000円のリーバイスを穿くと、そのカッコよさに感動したものです。

しかし、いまや低価格のブランドと、百貨店の服は、値段の差の割には品質の差が小さい。それで百貨店ブランドの服が売れ続けるほうがおかしいと思います」(前出・南氏)

 

アパレルがとった「コストカット」の道は、現在、おそるべき段階にまで行きついている。アパレル社員が嘆く。

「現在の『丸投げ』ぶりは尋常ではありません。社員がOEMメーカーを訪れ、『ウチのブランドに合うデザインを、来週までに20パターン作ってきて。その中から5つを選んで出すので』と言い残して去ることもある。もちろんそうして作られた製品は、素材も十分に吟味されていない」

別の社員も言う。

「他社のブランドで売れているものがあると聞けば、その店舗まで行ってデジカメでこっそりその製品を撮影し、写真をメールに添付してOEMに送って『これと同じものを作ってください』と指示することもあります」

百貨店ブランドの服の品質は下がり、ユニクロより少しいいというくらい。しかし、それにしては価格が高い。

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通販サイトに客を奪われる

高級ブランドの代名詞であるエルメスが、'16年、日本での売り上げを20%も伸ばしているのを見れば、百貨店ブランドの中途半端さこそが、消費者を遠ざけていると言える。

そもそも社会の趨勢として服を買う意欲が下がったところに、中途半端な価格で中途半端な品質のものが出されても買う気にはならない。

もはや百貨店のアパレル売り場にはワクワクしない。最低限に必要なものを買うのならば、掌の上のスマホで十分だ。前出の三浦氏が言う。

「忙しくなって、百貨店でゆっくりと店舗を回っている余裕がない女性にとって『ZOZOTOWN』などのファッション通販サイトで、膨大な量の衣服を回覧できるのは魅力的です。

さらに、中古製品の売買ができる『メルカリ』で服を買うケースも増えています。ますます百貨店から足は遠のいていくでしょう」

'60年代に花開いた日本のアパレルという文化は、いまその「終焉」に直面している。

「週刊現代」2017年9月2日号より