アパレル業界は、どうやら「死にかかっている」かもしれない

コストカット続きで現場は悲鳴
週刊現代 プロフィール

ユニクロの真似をして自滅

まず、消費者が求めている「機能性」という点では、アパレル会社が提供する製品の生地の素材や繊維の質は落ちている。前出の北村氏が言う。

「'90年代初め、アパレル企業は高コスト体質を指摘され、『売れ筋だけを売る』路線を選びました。売れ筋をリアルタイムで製造の部門に伝え、製品のラインナップを柔軟に変えるクイックレスポンス(QR)が重視された。

一時はうまくいきましたが、この方法は、『いまある素材』をもとに短納期で服を作るという性質を持ちます。徐々に、素材の質は低下し、生地はおもちゃのようにペラペラですぐにへたってしまうものが増えていった」

 

追い打ちをかけたのがユニクロだ。ファッションジャーナリストの南充浩氏も言う。

「'98年にユニクロのフリースが爆発的に売れた。当時、ワールドやオンワードの経営幹部に会うと口を揃えて『ユニクロはすごい』『これからは低価格路線だ』とコストカットに躍起になっていた。

皮肉な話ですが、トレンドに敏感なアパレルの経営者は、経営の流行にも流されやすい。低価格路線に乗ろうと、スケールメリットを追求しつつ、縫製や素材にかけるカネを減らし、品質は低下していきました」

ユニクロPhoto by GettyImages

デザインの面でも質は落ちていった。前出の北村氏によれば、かつてワールドの社内では、「女帝」のようなデザイナーやパタンナーが肩で風を切って歩き、尊敬を集めていたというが、短期的に売り上げを立てることのできない彼らは、「コスト」と見なされるようになる。

「彼らの肩身が狭くなり、ひとり、またひとりと、数が減っていくのを目の当たりにしました」(前出・北村氏)

さらに、これは皮肉な結果をもたらす。辞めていったデザイナーたちは、独立してOEM(受託製造)メーカーを立ち上げ始め、彼らが低価格ブランドのデザインを請け負うようになったのだ。低価格帯のデザインクオリティは上がり、百貨店ブランドと遜色ないものになっていく。

しかも「ユニクロは、繊維のレベルから原料メーカーとともに研究を行うなど、品質管理と在庫管理を徹底し、安く、高品質を実現した」(百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏)。