「東京大学のやり方は大問題」非常勤雇用ルール巡って労組が緊急会見

最大数万人に影響…?
田中 圭太郎 プロフィール

数万人に影響…?

一方、東京大学は、8月7日に開かれた東京大学教職員組合と首都圏大学非常勤講師組合との団体交渉で、2018年4月から「職域限定雇用職員」という、フルタイムで定年まで働ける新たな制度を作る」と説明している。契約期間が満了しても引き続き働きたい非正規職員は、毎年秋に実施する試験に合格すれば、非常勤ながら定年まで働けるようになるため「希望者は試験を受けてほしい」としている。

東京大学はこの「職域限定雇用職員」を新設するので、今回の「新ルール」の制定には問題はなく、無期雇用を促す「改正労働契約法」の趣旨にも反していないと主張している。

だが、組合側は「これは専門的かつ高度な仕事をする職員、という前提があり、予算の裏付けがある部署に限って公募するもの。そのうえ、対象の部署や採用人数などは明らかにされていない、不透明な制度だ。このような試験を設けたとしても、これは法律で定められた『無期転換』にはあたらない」と主張、あくまで対象者全員の無期雇用転換を求めている。

 

組合側は8月23日の会見前に東京労働局を訪れ、東京大学に対して指導を行うよう申し入れたという。今後は「職域限定雇用職員」制度の導入を1年間延期して、いま働いている教職員の無期雇用転換に応じることを東京大学に求めていくが、このまま方針が変わらなければ、非常勤講師組合は労働基準法違反で大学を刑事告発する方針だという。

文部科学省は2016年度に、国立大学法人86法人を対象に「無期転換ルールへの対応状況に関する調査」を実施した。その結果、非常勤教職員を「原則無期転換する」と答えたのは秋田大学、浜松医科大学、愛知教育大学、三重大学、京都教育大学、奈良教育大学の6法人だけだった。

ほとんどの大学は「職種によって異なる対応を行う」ことを検討していると回答し、事実上態度を保留している。他大学は、東京大学の様子を見ているとさえ考えられる。

現在、86ある国立大学法人全体で、少なくとも10万人以上の非常勤教職員が働いている。東京大学の対応が、今後数万単位の雇用に影響が及ぶ可能性があることを指摘しておきたい。

真っ向から両者の意見が対立するこの問題。今後、歩み寄りは見られるのだろうか。