「95%が効果を実感」健康食品のあの数値に潜む落とし穴

市場が拡大する今だからこそ言っておく
原田 隆之 プロフィール

プラセボ効果の罠

さらに、検討すべき重要な点がある。「効果を実感」という「実感」とは何だろう。

「体が楽になった」「元気になった」「疲れにくくなった」。こんなあいまいで主観的な「実感」であれば、大して信頼できないことは言うまでもない。

わざわざお金を出してその商品を買ったのだから、そこに期待が働くのは当然である。鰯の頭も何とやらで、信じていればなんだか効いたような「実感」がしてくるものだ。

これを「プラセボ効果」という。

〔PHOTO〕iStock

プラセボとは「偽薬」のことで、偽の薬を飲ませても、本人が本当の薬だと信じていれば実際に効果が出てくる。そして「この薬にはこんな副作用がありますよ」という情報を伝えておけば、ご丁寧に副作用まで現れることもある。

それほどプラセボ効果とは大きなもので、侮ってはいけない「効果」の1つなのだ。逆に、「こんな薬、効くわけない」と思って飲めば、本当に効果のある薬であっても効果が現れにくくなることもある。

したがって、「効果」とは、その薬やサプリなどが持つ「真の効果」に、プラセボ効果などの「期待」を足し引きしたものであり、一説によれば「効果」の5分の1ほどはプラセボ効果だとも言われている。

 

データのウラにあるもの

では、具体的な数値に変化があったという場合はどうだろうか。血圧が20も下がった、体重が5㎏も減った、と95%の人が言っているという「データ」があれば信頼してよいだろうか。

申し訳ないが、これもまったくダメである。たとえば、あるサプリを飲んで1ヵ月で体重が5㎏減ったとしよう。それは本当にサプリの効果だろうか。

高いサプリを買ったのに効果が台無しになっては困ると思って、半ば無意識的にいつもよりちょっとだけカロリーに気を使うようになったかもしれないし、階段を昇り降りするようになったかもしれない。

あるいは、いつも遅い時間に夕食を取っていたのが、無意識のうちに食事時間を前にずらしていたかもしれない。

サプリを摂取したという目立つことには目が向くが、それ以外の目立たないこともたくさん同時に起こっていて、それが体重減少に何かしらの働きをしているかもしれない(これを「共介入」という)。

たくさんの出来事の相乗的な効果かもしれないのに、目立たない出来事は無視してしまう。あるいはサプリの効果にことさら目を向けたい気持ちが、それらの効果を見えにくくしてしまう。

これは、われわれが犯しやすい認識のエラーの代表的なものである。