「95%が効果を実感」健康食品のあの数値に潜む落とし穴

市場が拡大する今だからこそ言っておく
原田 隆之 プロフィール

では、効果を疑ってみると…

ところで、これらの商品に果たして本当に効果はあるだろうか。

われわれはそもそも、新聞雑誌テレビなどのマスメディアから流れてくる情報は、「正しいもの」と端から信じてしまう、いわば「性善説」に立ってしまうようなバイアスを抱えている。

テレビでこれだけ宣伝しているのだから、あの有名な企業の製品だから、嘘はないと思い込んでしまっている。

しかし、ここで一度立ち止まって、「健全な懐疑心」を使って冷静にその効果を検証しても損はあるまい。

 

まず、使用者の声であるが、そもそも彼らは本当に使用者なのか、素人の街の人なのかわからない。その企業に雇われたサクラや役者が、単にセリフを読んでいるだけかもしれない。百歩譲って、本当に街の人であったとしても、お金をもらって話を膨らませているのかもしれない。

千歩譲って、本当に善意の街の人がタダで言っているのであったとしても、悪い話はカットして、よいことを言ってくれた人だけを宣伝に使っているのかもしれない。「私にはまったく効果ありませんでした」という感想を言う人がいてもおかしくはないが、それをわざわざCMで流す理由などまったくない。

もう1つ疑問なのは、その数である。5人の人が「効果ありました」と言ったところで、CMには現れなかった何万人の人には効果がなかったかもしれない。CMで声を紹介するのはせいぜい数人がいいところで、何万人もの声を紹介はできない。選ばれたわずか数人の口コミを信じるのは、あまり賢明な選択とは言えないだろう。

では、「95%の人が効果を実感しています」というのはどうか。95%というのだから、数は相当多そうだ。数人の声とは違って、信頼度が上がる。

しかし、19人中18人であっても95%であり、たった18人である。5人が18人になったところで大差はない。とはいえ、19人のうちの18人であれば、ほとんど全員に効果があったということだから、その効果は信頼できるのではないか。

それに、ここで19人中18人というのは便宜的に持ち出した数なので、実際は1,000人中の950人かもしれない。だとすると、これは相当信頼が置けそうな数字である。

とはいえ、ここにも落とし穴はたくさんある。先に述べた通り、950人はサクラかもしれない。百歩譲ってサクラではないとしても、どんな950人なのかわからない。ランダムに選んだ1,000人のうちの950人ではなく、予めモニター登録をしているとか、感謝のメールを寄せてくれたとかいう色のついた950人かもしれない。

千歩譲って、ランダムに選んだうちの950人だとしても、面と向かってその企業の製品を悪しざまに言うことはなかなか難しいので、とりあえず「効果がありました」と言ったのかもしれない。そもそもよい答えを期待しているという圧力がもろにかかる場面だからだ。