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鳥に一切興味のなかった僕が、なぜか「鳥類学者」になったワケ

鳥の研究は毒にも薬にもならないけれど
川上 和人 プロフィール

喫緊の課題は「外来生物の増加」

―最終章には、鳥類学者としての川上さんの歩みが記されています。かなり独自の進歩を遂げられたのですね。

先にも述べたとおり、子どもの頃から鳥が好きだったわけではないので、そのぶん「なぜこの鳥が面白いのか」「どういう研究が必要か」と客観的に見られたのではないかと思います。

無人島での研究をやるのも、やれる人間がやらなくては研究が進まないと思うから。いろんな人にお誘いをいただいて、それを受け身でやってきた人生でしたが、幸い、それがうまくいったのかもしれません。

 

―鳥類学者として今、もっとも重要だと認識される課題は何ですか。

やはり、外来生物の増加ですね。この問題の核心部を、多くの方々にもっと知っていただきたいと思っています。

実は、日本においてはコメもニワトリも外来生物。外来生物がすべて悪ということになったら、僕らはごはんも鶏肉も食べられません。しかし、生態系に悪影響を与える侵略的外来種の存在はやはりやっかいで、解決しなくてはならない。それに、日本の固有の鳥というのは、日本人が保全をしないと、いつかは絶滅してしまうものですから。

―本にも、固有種を含め多様な生物を保全するのは、それが〈人類の財産であり守るのが国民の責務だから〉と書かれています。

はい。ただ、昔は「外来生物=悪」「駆除しなければ」の一辺倒でしたが、今、僕たちは、単純な勧善懲悪ではなく、最善の方法を探るという、もう一段上の議論を皆でする時期に来ている。それは、キングコングを否定するのではなく、「もし本当にいたら」と思考をめぐらすことにも通じていて、そうすることで、大切なことが見えてくるんじゃないでしょうか。

でも……動物学者だから動物が好きだろうと思われがちなんですが、実はあんまり得意じゃない。虫は大嫌いだし、犬とかも苦手で。いちばん好きなのは、そうだなぁ、人間の女性ですかね(笑)。

(取材・文/大谷道子)

『週刊現代』2017年9月2日号より